問 題
2020年におけるハロカーボン類を大気中濃度の高い順に並べたとき、正しいものはどれか(WMO温室効果ガス年報第18号による)。
- HCFC-22 > CFC-11 > HFC-134a
- HFC-134a > HCFC-22 > CFC-11
- CFC-11 > HCFC-22 > HFC-134a
- HCFC-22 > HFC-134a > CFC-11
- CFC-11 > HFC-134a > HCFC-22
解 説
各ハロカーボン類の濃度が増加傾向か減少傾向かといった特徴を問う問題は頻出ですが、本問では濃度の大小関係が問われているため、やや難易度の高い問題だといえます。
まず、ハロカーボン類の大気中濃度の経年変化を以下の図に示します。
上図には3種類のCFCがありますが、いずれも1990年~2000年頃をピークに、その後は減少傾向となっています(蛇足ですが、CCl4とCH3CClも同様です)。
これは、モントリオール議定書に基づき、ハロンは1994年に、特定フロン(CFC)・四塩化炭素(CCl4)・1,1,1-トリクロロエタン(CH3CCl)は1996年に先進国での生産が全廃されたためです。実際には全廃される前から問題視されて使用制限・削減が進んでいたため、ピークが1996年よりも前にくる物質もあります。
一方、上記CFCなどの代替フロンとして使われ始めたHCFCは、最近まで増え続けてきました。しかし、HCFCもCFCほどではないにせよ、少しはオゾン層を破壊する物質であるため、今ではオゾン層を全く破壊しないHFCがさらなる代替フロンとして使われるようになっています。
よって、HCFCは2020年頃にピークを迎え、今後は減少していく見込みです。また、HFCは今後しばらく上昇傾向となると思われます。
ただし、HFCはオゾン層を破壊しない一方で、高い温室効果を持つという課題もあります。今はまだまだよく使用されている物質で、今後も大気中の濃度は上がり続けると思われますが、いずれは温室効果の少ない物質に置き換わっていくと考えられます。
以上がハロカーボン類の推移の説明でした。これらを踏まえると正解できる問題は頻出なので、ぜひ上記の流れを押さえておいてください。
しかし、本問の場合は推移ではなく単純に濃度の高低比較が問われています。
上図を見るとわかるように、HCFC-22とCFC-11とHFC-134aを比較すると、2015年頃に上昇傾向のHCFC-22が減少傾向のCFC-11を上回りました。また、HFC-134aは上昇傾向とはいえ、他の2物質と比べるとまだ低濃度といえます。
よって、濃度の関係は「HCFC-22 > CFC-11 > HFC-134a」となるので、正解は(1)です。
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