R5年 水質有害物質特論 問12 問題と解説

 問 題     

ガスクロマトグラフ法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 保持時間により定性分析を、ピーク面積又はピーク高さにより定量分析を行う。
  2. キャピラリーカラムは、充塡カラムに比べて高い分離効率を有している。
  3. スプリットレス注入法は、スプリット注入法に比べ高感度が得られる。
  4. FIDでは、有機物が水素炎に導入されたときに多量のイオンが生成して電流が流れ、検出される。
  5. ヘッドスペース法は、不揮発性有機化合物の分析に用いられる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(1)は正しいです。ガスクロマトグラフ法に限らずクロマトグラフ法全般に言えることですが、保持時間だけでは対象物質があることはわかっても、それがどのくらい含まれているのかは判別できません。そのため、保持時間から行えるのは「定性分析」、ピークの高さまたは面積から行えるのは「定量分析」となります。

(2)も正しいです。ガスクロマトグラフのカラムには「充塡カラム」または「キャピラリーカラム」を用いるというのは押さえておきたい知識です。一方、キャピラリーカラムのほうが分離能が高いというのは出題頻度から見るとマイナーな知識なので、あまり気にしなくてもよいと思います。

(3)も正しいですが、これはかなりマイナーな話なので、スルーして大丈夫です。マニアックな記述や数値が正解の選択肢になることは、ほとんどありません。

(4)も正しいです。今回のように「FID」と書かれることもあれば「水素炎イオン化検出器」と書かれて出題されることもありますが、同じものです。水素炎イオン化検出器(FID)では、有機物が水素炎に導入されたときに多量のイオンが生成して電流が流れ、検出されます。

(5)が誤りです。ガスクロマトグラフ法では試料を直接そのまま測定するのではなく、その前に、分離や濃縮を目的とする前処理を行います。その前処理法には、パージ・トラップ法やヘッドスペース法、溶媒抽出法、固相抽出法があります。

このうち「ヘッドスペース法」はベンゼンなどの揮発性有機化合物を分離、濃縮するための前処理方法としてよく用いられます。

よって、(5)の「不揮発性有機化合物」が誤りで、正しくは「揮発性有機化合物」となります。

以上から、正解は(5)です。

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