R5年 水質概論 問9 問題と解説

 問 題     

化学物質のリスク評価に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 化学物質によるリスクは、有害性(ハザード)と暴露量によって決まる。
  2. 無毒性量(NOAEL)の情報は、閾値が存在する化学物質のリスク評価に利用される。
  3. TDIは、人が一生涯摂取し続けても悪影響を生じないと考えられる体重1kg当たりの1日当たりの摂取量で表わされる。
  4. 不確実係数積は、動物と人との種差による係数と、個体差による係数との積であり、10-5~10-6の範囲の値となる。
  5. 遺伝子障害性をもつ発がん性物質に関しては、閾値は存在しないと考えられている。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)は正しいです。有害性の強い物質でも微量であれば大した悪影響はなく、有害性の低い物質でも大量に暴露したら危険性が増します。よって、化学物質によるリスクは、その物質の有害性と暴露量の両方を考慮する必要があります。

(2)も正しいです。無毒性量(NOAEL)は「無」とあるように、一定の閾値以下であれば毒性が現れないので気にしなくて大丈夫…といった判断ができます。よって、これらは閾値が存在する化学物質の有害性評価に用いられます。

(3)も正しいです。TDI(Tolerable Daily Intake, 耐容一日摂取量)は、人が一生涯摂取し続けても悪影響を生じないと考えられる体重1kg当たりの1日摂取量のことです。

(4)の前半は正しいですが、後半が誤りです。不確実係数は、動物と人との種差による係数を10、個体差による係数を10とすることが多いため、不確実係数積には通常100が用いられます。

よって、(4)の「10-5~10-6の範囲の値となる」が誤りで、「通常100が用いられる」のように直すと正しい文章になります。

(5)は正しいです。WHO(世界保健機構)では、遺伝子障害性を持つ物質は閾値のない発がん性物質として扱い、遺伝子障害性を持たない物質は閾値のある発がん性物質として扱っています。

以上から、正解は(4)です。

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