問 題
電気集じん装置の逆電離現象に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ダスト層の見掛け電気抵抗率が109Ω・m以上と非常に高い場合に発生する。
- 定格電流付近における運転では、電圧値が正常時に比べて高くなる。
- 電流-電圧特性にヒステリシスを生じる。
- 間欠荷電は、現象の改善に効果がある。
- 電極上の固定ダスト層を除去すると起きにくくなる。
解 説
逆電離現象は、集じん電極に付着したダスト層の見掛け電気抵抗率が極めて高い場合に、ダスト層を流れる電流が増加してダスト層内に著しく高い電界を生じ、これがダスト層内で絶縁破壊を引き起こす現象のことです。
…というのは押さえておきたい知識ですが、本問では逆電離現象のさらに詳しい知識がないと選択肢の正誤を判断することができません。一方、出題頻度から見ても(1)以外の選択肢は正確に押さえておくべき重要事項だとは思えないので、個人的にはこの設問は捨て問題扱いとしたいところです。
一応、以下に各選択肢に対する解説をしますが、参考程度に軽く目を通す程度でいいと思います。
(1)は正しい上、この選択肢だけは割と頻出のテーマです。見掛け電気抵抗率ρdが約109Ω・m以上のダスト粒子は、逆電離現象を起こしやすいです。また、関連知識として、見掛け電気抵抗率ρdが約102Ω・m以下のダスト粒子は、集じん電極上で異常再飛散を起こしやすくなります。
(2)が誤りです。定格電流付近における運転では、電圧値が正常時に比べてかなり低くなります。よって、「高くなる」が誤りで、正しくは「(かなり)低くなる」となります。
(3)は正しいです。ヒステリシスというのは、ある値が、別のパラメータの今現在の値のみで決まるわけではなく、そのパラメータがどのような経過をたどったかが影響するという特性のことです。
逆電離現象が起こっているとき、たとえば、電流が0となる電圧の値は常に一定ではありません。電流が上昇時にマイナスから0になる場合と、電流が下降時にプラスから0になる場合とでは、そのときの電圧にずれが生じます。このような特性がヒステリシスです。
(4)と(5)はともに正しいです。逆電離現象を解消するための方法には次のようなものが挙げられます。
- ダスト層をなくす
- 温度を調節して、ダスト層の見掛け電気抵抗率を下げる
- 間欠荷電により、ダスト層を流れるイオン電流密度を下げる
以上から、正解は(2)となります。
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