R5年 ばいじん・粉じん特論 問8 問題と解説

 問 題     

バグフィルター用のろ布に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 織布の空隙率は、不織布のそれより小さい。
  2. 長繊維製のものは、短繊維製のものより付着性ダストの剥離性がよい。
  3. 未使用フィルターの部分集じん率は、運転時の払い落とし直後のフィルターのそれより低い。
  4. 常用耐熱温度は、パイレン製よりアクリル製が高い。
  5. 耐酸性は、アクリル製よりナイロン製が高い。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(1)は正しいです。ろ布の空隙率は、織布では30~40%、不織布では70~80%です。

(2)も正しいです。長繊維製ろ布は短繊維製と比べて強度が強いので、付着性の強いダストの剥離性がよいです。短繊維製ろ布は集じん率が優れている一方、強度はやや劣り、付着性の強いダストには向きません。

(3)も正しいです。未使用フィルターの部分集じん率は、運転時の払い落とし直後のフィルターのそれよりも低いです。そのため、運転初期において排気ダスト濃度が高いと予測される場合は、プリコート粉を供給し、一次付着層を形成させることがあります。

(4)も正しいです。各ろ布材の耐熱温度を細かく覚えておく必要はないと思いますが、ポリイミドが熱に強いこと、パイレンが熱に弱いことは押さえておきたいです(ちなみに、ポリイミドの常用耐熱温度は260℃程度で、パイレンが80℃程度です。参考までに)。

これさえ押さえておけば、本問でアクリルの耐熱温度を把握していなくても、パイレンよりは高いと自信を持って答えることができます。他年度の類題に関しても、熱に弱いパイレンと熱に強いポリイミドのことさえ知っていれば得点することが可能でした。

(5)が誤りです。アクリルは耐酸性に優れている一方で、ナイロンは酸に弱いという特徴があります。よって、(5)の記述は反対です。

以上から、正解は(5)となります。


(5)に関連して、以下に、過去に出題された種々のろ布材に関する、耐酸性・耐アルカリ性の有無をまとめておきます。これらは頻出事項としてできる限り覚えておきたい知識です。

「耐酸性、耐アルカリ性ともに優れている」

  • 四ふっ化エチレン(テフロン)
  • ガラス繊維
  • ポリフェニレンサルファイド(PPS)
  • ポリイミド

「耐酸性に優れている」

  • パイレン
  • アクリル:アルカリには弱い

「耐アルカリ性に優れている」

  • ナイロン:酸には弱い

「その他」

  • 木綿:酸に弱い
  • ポリエステル:酸・アルカリともに強くも弱くもない

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