R4年 汚水処理特論 問7 問題と解説

 問 題     

活性炭吸着装置に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 固定層吸着における圧力式の吸着槽では、鋼板製の圧力容器には、エポキシ系塗料でコーティングするかゴムライニングなどを施す。
  2. 固定層吸着における活性炭層内では微生物が繁殖しやすい。
  3. 固定層吸着においては、破過点に達したら塔内の活性炭を全量取り出して、新炭あるいは再生炭と交換する。
  4. 固定層吸着は移動層吸着に比べ、装置が複雑になる、運転操作が煩雑になる、活性炭の性能劣化が早いなどの欠点がある。
  5. 攪拌槽吸着において、吸着剤の使用量を節減し、処理水の濃度を低くするためには、向流多段吸着が用いられる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

活性炭吸着に関する出題は珍しくありませんが、今回のように活性炭吸着装置が出題されるのは稀です。悪問・奇問というわけではないので、余裕があれば押さえておきたい知識ですが、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。

(1)は正しいです。鋼板製の圧力容器の腐食を防ぐため、エポキシ系の塗料などを用いてコーティングするか、ゴムライニングを施します。

(2)も正しいです。微生物が繁殖すると目詰まりの原因となります。

(3)も正しいです。ある条件で活性炭を通水していると、一定時間を超えるときに急に処理水濃度が原水濃度に近づいてしまうことがあります(要するに、活性炭が急に役立たずになります)。これは固定層が吸着飽和に達し、効果を発揮しなくなったためで、この飽和に達した点のことを破過点といいます。

こうなった場合、塔内の活性炭を全量取り出して、新炭または再生炭と交換することで、再び水処理を行えるようになります。ちなみに、再生炭とは、使用済みの活性炭を700~1000℃程度で焼き直して、その機能を回復(賦活)させたもののことです。

(4)が誤りです。ここに書かれているのは「固定層吸着」ではなく「移動層吸着」の特徴です。移動層吸着にはこのような欠点がありますが、装置を小型化でき、設置面積が小さくなるという利点があります。

(5)は正しいです。向流多段吸着だと、活性炭と汚水が同じ方向に流れる場合と比べて接触機会が増えるため、活性炭の量も少なくて済みます。

また、この方法を取ることにより、汚水の下流が活性炭の上流ということになるため、ある程度吸着処理されたあとの汚水を未使用の活性炭で吸着させ、まだ全然処理されていない汚水をやや汚れている活性炭で吸着させることができます。

結果として、向流多段吸着の方法をとることで、吸着剤の使用量を節減し、処理水の濃度を低くすることができます。

以上から、正解は(4)となります。

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