R4年 汚水処理特論 問6 問題と解説

 問 題     

pH調節による排水中の金属イオン除去に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 一般に、金属イオンを含む排水にアルカリを加えてpHを上げていくと、水酸化物イオンと反応して水酸化物の沈殿を生じる。
  2. 鉄やマンガンは、高いpHにおいては過剰の水酸化物イオンと反応して金属錯イオンとなって再溶解するので注意が必要である。
  3. 排水処理に用いられるアルカリ剤には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムなどがある。
  4. Fe2はpH10程度まで上げないと十分に水酸化物として除去されないが、中和時に空気を吹き込んでFe2をFe3にすると、pH4付近でほぼ完全に除去される。
  5. 一般に、金属水酸化物のスラッジは沈降速度が小さく、含水率が高いが、スラッジの一部を中和反応槽に返送することで、沈降濃縮脱水特性を改善する方法がある。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)と(2)に関して、多くの金属類は(1)にあるように、pHがアルカリ側に傾くと水酸化物の沈殿を生じます。ただし、(2)にあるように両性金属については例外で、アルカリ側でも沈殿せず、水に溶けます。

ここで、両性金属といえば次のような金属が挙げられます。これは重要事項として押さえておきたい知識です。

【両性金属】

  • アルミニウム
  • 亜鉛
  • クロム
  • スズ

よって、(1)は正しいです。一方、(2)の冒頭にある「鉄やマンガン」はともに両性金属ではないので、これらは高いpHでも再溶解することなく、水酸化物のまま沈殿しています。

そのため、(2)が誤りで、これが正解となります。

この問題では(3)、(4)あたりもたまに出題されることがあるので、確認しておいてください。

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