R4年 汚水処理特論 問5 問題と解説

 問 題     

清澄ろ過に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. ろ過抵抗を表すコゼニー-カルマンの式では、清浄ろ層のろ過抵抗はろ過速度に比例する。
  2. 逆流洗浄の効果は、ろ材層を流動化させずにろ材粒子同士を衝突させないときに効果が大きくなる。
  3. 砂の有効径とは、ろ材試料をふるい分けして、全質量の50%が通過するふるい目の大きさに相当する粒子径をいう。
  4. 砂とアンスラサイトを用いて二層ろ過とする場合、砂を上層にアンスラサイトを下層とする。
  5. マイクロフロック法では、原水に凝集剤を添加せずに直接ろ過池に水を通して処理する。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(1)に関して、コゼニー-カルマンの式とは、粒状層を通って水が流れるときのろ過抵抗を示す式で、以下の式で表すことができます。この式を知っていると簡単に正解できる問題がたまに出題されるので、複雑な式ですが覚えておく価値はあります。

  • h0:清浄ろ層のろ過抵抗 [Pa]
  • k:定数(無次元)
  • μ:水の粘性係数 [kg/(m・s)]
  • u:ろ過速度 [m/s]
  • L:ろ材層の厚さ [m]
  • d:ろ材の粒子径 [m]
  • ε:ろ層の空隙率 (無次元)

この式と選択肢とを見比べると、ろ過抵抗h0とろ過速度uは比例関係にあることがわかるので、(1)が正しい文章で、これが正解となります。

(2)で、逆流洗浄をするのはろ材を洗浄するためなので、なるべくろ材を流動化させて、ろ材粒子同士を衝突させることによって汚れを落とします。よって、(2)の記述は反対です。

(3)はややマイナーな知識ですが、ろ材として用いられる砂の有効径とは、ろ材試料をふるい分けして、全質量の10%が通過するふるい目の大きさに相当する粒子径をいいます。よって、(3)の「50%」が誤りで、正しくは「10%」となります。

(4)で、多層ろ過(二層ろ過や三層ろ過)の場合、上流に大きい粒を、下流に小さい粒を置くことで効率的にろ過することができます。ちなみに、清澄ろ過は普通上から下へと水を流すので、上層が上流、下層が下流となります。

ここで、この試験に出題される3種類のろ材の大きさを比較すると、「ザクロ石の細砂 < 砂 < アンスラサイト」の順番になります。よって、二層ろ過と三層ろ過のろ材の並びは次のようになるので、(4)の記述も誤りです。

【二層ろ過】

  • 上層:アンスラサイト
  • 下層:砂

【三層ろ過】

  • 上層:アンスラサイト
  • 中層:砂
  • 下層:ザクロ石の細砂

(5)で、マイクロフロック法は、急速撹拌槽を出た直後の凝集水を直接ろ過池に通す処理方法です。つまり、フロック形成工程や沈殿工程を省略するのが特徴です。

(5)にあるように原水をそのままろ過池に送ることはせず、きちんと凝集剤を添加しているので、(5)も誤りです。

以上から、正解は(1)となります。

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