問 題
炭化水素系気体燃料の総発熱量(MJ/m3N)の値を、その気体燃料分子中の炭素数で除した値の大小の比較として、誤っているものはどれか。
- メタン > エタン
- プロパン > ブタン
- エタン > エチレン
- プロパン > プロピレン
- プロピレン > エチレン
解 説
代表的な気体燃料に関して、分子量が大きいものほど総発熱量が高くなると考えてください。つまり、飽和炭化水素の場合、総発熱量の関係は次のようになります。
- メタン(CH4) < エタン(C2H6) < プロパン(C3H8) < ブタン(C4H10)
しかし、炭素数が2倍や3倍になったからといって、総発熱量が2倍・3倍になるわけではなく、それよりもいくらか小さい上がり幅です。炭素数が1から2になるときには2倍には届かず、炭素数が2から3になるときは上昇幅がさらに小さくなります。炭素数が3から4になるとさらに小さい上昇です。
エタン(C2H6)を炭素数2で割るとCH3になるので、メタン(CH4)よりもHの分だけ総発熱量が小さい…と考えると覚えやすいかもしれません。プロパン(C3H8)は炭素数3で割るとCH2.7になって、Hの数はエタンよりも小さくなります。
(※ あくまで覚え方の一例を示しただけで、実際にはこれだけが理由ではありません。)
よって、総発熱量を炭素数で除した値は、最初に示した順番の逆になるため、次のようになります。
- メタン(CH4) > エタン÷2(CH3) > プロパン÷3(CH2.7) > ブタン÷4(CH2.5)
以上から、(1)と(2)はともに正しいことがわかります。
(3)と(4)は、同じ炭素数の飽和炭化水素と不飽和炭化水素の比較です。
このパターンについても、炭素数が同じなら水素の数が多くなる飽和炭化水素のほうが総発熱量が大きいと考えてよいです。つまり、エタン(C2H6)のほうがエチレン(C2H4)よりも大きく、プロパン(C3H8)のほうがプロピレン(C3H6)よりも大きくなります。
よって、(3)と(4)はともに正しいといえます。
(5)は不飽和炭化水素同士の比較です。これは飽和炭化水素同士の比較のときと同様、炭素数が増えるほど総発熱量そのものは大きくなりますが、炭素数の増加割合ほどには増えません。
たとえば、プロピレン(C3H6)の総発熱量はエチレン(C2H4)の総発熱量よりも大きいですが、それでも炭素数の比である1.5倍(C3とC2の比較)も大きくなるわけではありません。
よって、炭素数で除した値を比較すると、エチレン(C2H4)のほうがプロピレン(C3H6)よりも大きくなるので、(5)の大小関係が誤っています。
以上から、正解は(5)です。
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