問 題
酸性雨に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 酸性雨の主要な原因物質は、硫酸と硝酸である。
- 硫酸、硝酸は、それぞれSO2、NOxを先駆物質とする二次汚染物質である。
- 気相におけるNO2の硝酸への酸化速度は、SO2の硫酸への酸化速度よりも1桁近く大きいと推定されている。
- 硫酸、硝酸の生成メカニズムとして、気相でのOHとの反応、雲や霧の中での反応、粒子状物質上での反応などが挙げられる。
- 生成した硫酸、硝酸が大気中のアンモニアと反応して生成するエーロゾルや他の粒子状物質に付着した形で地上に降下する現象を湿性沈着という。
正解 (5)
解 説
(1)と(2)はともに正しいです。
酸性雨の主要な原因物質は、硫酸と硝酸です。硫酸(H2SO4)は二酸化硫黄(SO2)から亜硫酸(H2SO3)を経て生成され、硝酸(HNO3)は二酸化窒素(NO2)から生成されます。
ちなみに、一酸化窒素(NO)は容易に酸化されて二酸化窒素(NO2)となるので、(2)の記述でNOxとなっている通り、NOもNO2も結局はHNO3に変化します。
(3)と(4)も両方とも正しい記述ですが、内容的にややマイナーなのであまり気にしなくていいと思います。ただし、(3)に関連して「NO2の酸化速度はSO2の酸化速度よりも圧倒的に大きい」というのはできたら覚えておいてください。
(5)で、湿性沈着と乾性沈着の違いは以下の通りです。
- 湿性沈着:生成した硫酸、硝酸が雲や雨に吸収されて地上に降下する現象
- 乾性沈着:生成した硫酸、硝酸が大気中のアンモニアと反応して生成するエーロゾルや他の粒子状物質に付着した形で地上に降下する現象
つまり、地上に到達する段階で水分を含んでいれば「湿性沈着」、水分を含んでいなければ「乾性沈着」となります。
よって、(5)の説明文は「湿性沈着」ではなく「乾性沈着」のことなので、正解は(5)です。
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