R3年 水質有害物質特論 問7 問題と解説

 問 題     

セレン排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. セレン(Ⅳ)に対しては、水酸化鉄(Ⅲ)による共沈処理が有効である。
  2. セレン(Ⅳ)に対しては、活性アルミナの吸着効果は認められないが、活性炭は有効である。
  3. セレン(Ⅵ)を金属セレン(Se0)に還元する方法として、金属鉄を用いる技術がある。
  4. セレンがイオンとして存在すれば、セレン(Ⅳ)及びセレン(Ⅵ)はイオン交換法で処理できる。
  5. 嫌気性条件下で、微生物を利用してセレン(Ⅵ)を金属セレン(Se0)に還元する技術がある。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。記述の通り、水酸化鉄(Ⅲ)による共沈処理はセレン(Ⅳ)の処理に有効ですが、一方でこの方法だとセレン(Ⅵ)にはほとんど効果がありません。このことも大事なので、ぜひ覚えておいてください。

(2)で、活性アルミナの吸着効果はセレン(Ⅳ)に対して有効です。ただし、(1)の共沈法と同じく、セレン(Ⅵ)に対する効果はあまり望めません。

ちなみに、(2)には「活性炭は有効である」とありますが、セレン(Ⅳ)もセレン(Ⅵ)も活性炭の効果は薄いです。活性炭は水銀やクロム(Ⅵ)などには有効ですが、それ以外の多くの金属には適用できません(非金属の処理が得意です)。

よって、(2)の文章が誤りなので、これが正解となります。(2)の文章中の「活性アルミナ」と「活性炭」を入れ替えると、正しい文章になります。

(3)と(5)に関して、(1)や(2)の解説からわかるようにセレン(Ⅵ)の処理は難しいので、セレン(Ⅵ)を処理したい場合には、セレン(Ⅳ)や金属セレン(Se0)に還元してから吸着や共沈処理を行います。

セレン(Ⅵ)を金属セレン(Se0)に還元する方法は(3)の金属鉄を用いる方法や、(5)の嫌気性条件下で微生物を利用する方法があります。よって、(3)と(5)はいずれも正しい記述です。

(4)で、イオン交換法はイオンの形をとっていれば分離することが可能なので、セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)の両方に有効な処理方法です。よって、(4)も正しいです。

以上から、正解は(2)となります。

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