R3年 汚水処理特論 問25 問題と解説

 問 題     

TOC計に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 水中の有機物に含まれている炭素を定量するものである。
  2. COD、BODに比べて短時間で測定値を得ることができる。
  3. 燃焼酸化方式のTOC計には1チャンネル方式と2チャンネル方式があり、いずれも生成した二酸化炭素を非分散形赤外線ガス分析計で測定している。
  4. 1チャンネル方式では、水酸化ナトリウム溶液等を添加して試料をアルカリ性とし、パージガスを通気して無機体炭素をあらかじめ除去する。
  5. 2チャンネル方式による測定では、全炭素(TC)から全無機体炭素(TIC)を減じてTOCを得る。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

TOC(Total Organic Carbon)は全有機炭素のことなので、TOC計は、水中に含まれている有機体炭素を定量するものです。BODやCODも同じように水中の有機物の指標となりますが、TOC測定のほうがCODやBODの測定よりも短時間で結果が得られるという長所があります。

よって、(1)と(2)はともに正しいです。

TOCの測定法として「燃焼酸化-赤外線式」が有名ですが、これには2チャンネル方式と1チャンネル方式があります。

これらは2つとも、水中に存在する有機物に含まれている炭素を燃焼により二酸化炭素まで酸化させ、これを非分散型赤外線ガス分析計で定量します。ただし、もちろん両者には違いもあります。

よって、(3)は正しい文章です。

2チャンネル方式は、全炭素(TC)から全無機体炭素(TIC)を差し引くことで全有機炭素(TOC)を知るという方法です。TOCが低い試料は、誤差が大きくなる場合があります。

よって、(5)も正しい文章です。

1チャンネル方式は、試料を酸性とし、これにパージガスを通気して無機体炭素を除去することで、直接TOCとして測定する方法です。揮発性有機化合物の一部は、無機体炭素除去過程で揮散するため、TOCとして測定されずに誤差となります。

よって、(4)の「水酸化ナトリウム溶液等を添加して試料をアルカリ性とし」が誤りです。ここは、「塩酸またはりん酸等を添加して試料を酸性とし」のように変えると正しい文章になります。

また、もうひとつの大きな特徴として、1チャンネル方式は連続モニタリング用に使われています。つまり、実験室では2チャンネル方式が、現場の連続モニタリングでは1チャンネル方式が採用されています。

以上から、正解は(4)となります。

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