R3年 汚水処理特論 問2 問題と解説

 問 題     

連続シックナーに関する記述中、(ア)~(ウ)の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。

連続シックナーの内部で、汚泥濃度C、表面積Aの水平面を考え、重力による沈降速度をRとする。越流での汚泥濃度Ce=0、排泥量をQuとした場合、この水平面を通って下向きに移動する質量沈降速度Gは、( ア )となる。

排泥量が一定であれば、給泥濃度Cfから排泥濃度Cuに至るまでのある濃度CLにおいてGが( イ )になる。このGの値から連続シックナーの( ウ )が求まる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

シックナーというのは沈降濃縮装置ともいい、汚泥の固体分と液体分を分けるための水槽のようなものです。これに関する出題は珍しいですが知識がなくても解ける問題なので、当日もし見知らぬ問題が出ても、とりあえずアプローチを試みることが大切です。

( ア )は質量沈降速度G [kg/(m2・h)] の式が問われています。Gの意味や単位を知っていれば様々な解き方ができますが、ここでは知識がない前提での解説をします。

選択肢を見ると2種類の式が書かれていますが、その違いは「QuA」か「Qu/A」という部分のみです。そして、いずれも( )の中でRと足し算をしているので、これはRと単位が同じであると判断できます。

Rは沈降速度なので、その単位は [m/h] です。mをcmにしたり、時間を秒にして考えても構いません。

一方、Quは時間あたりの排泥量なので、単位は [m3/h] です。問題文には「時間あたり」と書いてありませんが、連続シックナーは連続的に汚泥が入ったり出たりするので、排泥量は時間で区切って数値化します。水槽に水が入るときの流量と同じ考え方です。

また、Aは表面積なので単位は [m2] です。

以上より、Qu [m3/h] とA [m2] を掛けるか割るかしてRと同じ単位 [m/h] にすればよいので、割るのが正しいと判断することができます。

よって、( ア )にはが入ります。この時点で正解は(3)か(5)になります。

( イ )は、シックナーに関する知識がない場合はスルーで構いません。ここには「最小」が入り、Gが最小であっても汚泥をきちんと分離できるような必要表面積を計算する…という話ですが、興味がある方だけ詳しく調べてみてください(試験対策としてはそんなに重要じゃないと思います)。

( ウ )は選択肢から、「必要表面積」か「必要水深」が入ります。しかし、( ア )で求めた式のパラメータを見ると、登場するのは以下の5種類です。

  • G:質量沈降速度
  • C:汚泥濃度
  • R:沈降速度
  • Qu:排泥量
  • A:表面積

よって、表面積はあっても水深は出てこないので、この式をいくら読み解いても必要水深を求めることはできません。つまり、( ウ )には「必要表面積」が入るはずです。

以上から、( ア )と( ウ )の答えから選択肢(5)が正解だと判断することができます。

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