窒素酸化物の生成機構に関する記述として、誤っているものはどれか。
- Zeldovich機構は、サーマルNOxの生成機構の一つである。
- プロンプトNOxは、サーマルNOx生成にみられる現象である。
- 水素の燃焼において、プロンプトNOxが生成する。
- 石炭燃焼の火炎中には、シアン化合物が存在する。
- 燃料中の窒素のNOへの変換率は、50%を超えることは少ない。
正解 (3)
解 説
(1)は正しい記述です。Zeldovich機構といえばサーマルNOxです。時々、Zeldovich機構とフューエルNOxの組み合わせが「誤った選択肢」として登場するので、注意して覚えておいてください。
(1)、(2)、(3)に関して、サーマルNOxは大まかにZeldovich機構に従うものとそうでないものとに分かれます。一酸化炭素や水素の燃焼はZeldovich機構に従い、炭化水素の燃焼ではZeldovich機構に従いません。そして、Zeldovich機構に従わないようなサーマルNOxのことを、特にプロンプトNOxと呼びます。よって、(1)、(2)は正しく、(3)が誤りの記述となります。
(4)は石炭燃焼なので、まさに上で解説したプロンプトNOxのパターンです。プロンプトNOxの生成過程において、石炭中に含まれる炭素(C)や水素(H)と、空気中の窒素(N)とが反応して、HCNなどのシアン化合物が中間体として存在しています。よって、(4)は正しい記述です。
(5)だけは燃料中の窒素の話なので、これはフューエルNOxです。燃料中のN分のフューエルNOへの変換率は大体1割~5割といわれているので、これも正しい記述となります。
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