下図のフローの循環式硝化脱窒素法に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 脱窒素槽は無酸素状態で、排水中のBOD成分を利用しながら脱窒素を行う。
- 硝化液の10~20%程度が脱窒素槽に循環され、残りが二次脱窒素槽に流入する。
- 二次脱窒素槽は、残存する亜硝酸、硝酸を除去するために設けられる。
- 二次脱窒素槽での脱窒素は、メタノールなどを添加して行われる例が多い。
- 再曝気槽は、添加した水素供与体の除去や後段での固液分離性をよくするために設けられている。
正解 (2)
解 説
循環式硝化脱窒素法は「脱窒素」と「硝化」の2段階で成り立っています。
脱窒素の工程では、脱窒素菌の働きによって、排水に含まれる有機物が硝酸と反応し酸化されて窒素になります。窒素は気体なので、生成するとすぐに泡となって消えていくために「脱窒素」という呼ばれ方をします。ちなみに、この反応は無酸素状態で進行するため、脱窒素槽は無酸素槽ともいいます。
次に硝化槽ですが、こちらでは排水に含まれるアンモニアを硝化菌の働きで硝酸に変えます。先ほど脱窒素槽で有機物を酸化するために使われた硝酸は、実はここが供給源です。つまり、硝化槽で発生した硝酸を脱窒素槽に戻すラインがあり、図中では循環硝化液の矢印がこれに該当します。
また、循環硝化液として引き抜く水の割合は、通常、この槽に流入する水の50%以上です。そして、硝化菌は好気性菌なので、この槽は曝気を行っているため、好気槽もしくは曝気槽とも呼ばれます。
以上の「脱窒素槽」と「硝化槽」で一応の処理は完結しています。その後段にある「二次脱窒素槽」は最初の脱窒素槽と同様のものですが、二段構えにすることで、上段で取りきれなかった窒素分を除去するためにあります。
また、この二次脱窒素槽では水素供与体を添加します。水素供与体としてよく使われるのはメタノールで、これは脱窒素菌の働きを助けるために注入しています。
二次脱窒素槽に続く「再曝気槽」は、添加した水素供与体の除去や、後段の「沈殿槽」での固液分離性をよくするために設けられています。
以上から、(2)の「10~20%程度」が誤りで、これはたとえば「50%以上」などと直すのが正しいです。
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