中立境界層に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 風速が大きくなると、大気安定度は中立に近づく。
- 天候が本曇りになると、昼間でも夜間でも、大気安定度は中立に近づく。
- 中立境界層では、風速勾配によって乱流が作られる。
- 中立境界層は、晴れた日中には通常、地上から1km以上に達する。
- 中立境界層の風速の鉛直分布は、対数分布則やべき乗則で表すことができる。
正解 (4)
解 説
平坦地上に形成される境界層を熱的に大別すると、混合層、接地安定層、中立境界層の3つに分けることができます。この3つのそれぞれについて、その層が形成される条件は大事なのでぜひ覚えておいてください。
混合層とは、日射によって空気が暖められて、その熱対流によって大気が混合されるような大気境界層のことです。よって、陽が出ていることがポイントになるので、晴れた昼間に発達します(ピークは午後2~3時)。混合層は普通、地上1km以下くらいのところに形成されます。
混合層が晴れた昼間にできるのに対し、接地安定層は晴れた夜に発達する層です。晴天の夜間は放射冷却によって地表面が冷たく、上層が暖かくなります。すると温度逆転が起こることになるので、その大気は安定するため、接地安定層と呼ばれます。これは大体地上200m以下程度のところに境界層ができます。
残る中立境界層は、曇りの日や風の強い日に形成されやすいです。混合層が熱の勾配による自由対流であるのに対し、中立境界層は風速勾配による強制対流となるのが特徴的です。中立境界層の厚さは、一般的には大体数百m以下となります。
以上から、(4)が誤りで、晴れた日中には中立境界層になりにくい(混合層になりやすい)上、中立境界層の層の厚さは1kmもなく、大体数百m程度です。
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