H29年 大規模大気特論 問1 問題と解説

煙突出口や周辺の構造物におけるダウンウォッシュの発生を抑制する改修方法として、誤っているものはどれか。ただし、他の諸条件は変化させないものとする。

  1. 煙突を出口径の大きなものに変える。
  2. 煙突高さを増す。
  3. 排出ガス量を増す。
  4. 工場建屋に隣接した煙突を、建屋から離れた場所に同じサイズで移設する。
  5. 排ガス温度が低下するプロセスを除外し、高温のまま排出する。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

ダウンウォッシュは、煙突から出た煙が煙突自身やそばの建物によって渦を作り、それにより煙が地上へと降りてしまう現象のことです。これが起こると煙に含まれる汚染物質が拡散せず、近くに濃度の高いまま着地することになります。よって、ダウンウォッシュが起こらないように工夫する必要があります。

(1)に関して、煙突の出口径を大きなものに変えるということは、排ガスの勢い(吐出速度)が弱まるということです。吐出速度は大きいほうが排ガスは遠くに拡散されやすくなるため、ダウンウォッシュが起こりにくくなります。

(1)の操作はこれと反対のことが起こるため、むしろダウンウォッシュの誘発につながるおそれがあるため、これが誤りの記述です。

(2)で、煙突の高さを高くすることは、排ガスが付近の建造物にぶつかりにくくなるので、ダウンウォッシュ対策として正しい方法です。

(3)は(1)で説明したことに近いですが、排ガス量が増せば、その勢いで遠くまで拡散します。よって、ダウンウォッシュの発生は抑制されます。

(4)について、煙突の大きさや高さが変わらなくても、付近の建物から遠ざかれば、その分だけダウンウォッシュのリスクは減ります。

(5)で、排ガスの温度が高ければ、それだけ勢いよく煙突から排ガスが飛び出すので、これもダウンウォッシュの抑制効果があります。

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