アルカリ塩素法によるシアン排水処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 1段目の反応はpH10以上、2段目の反応はpH7~8とし、それぞれ次亜塩素酸ナトリウムを添加する。
- 処理による理論的な最終生成物は、アンモニア、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。
- 薬注制御は酸化還元電位計(ORP計)で行われる。
- 反応時間は1段目が約10分、2段目が約30分である。
- 鉄、コバルト、金のシアノ錯体は、ほとんど分解できない。
正解 (2)
解 説
アルカリ塩素法は有用なシアン排水の処理方法で、遊離シアンのほか、銅や亜鉛のシアノ錯体も処理可能です。しかし、鉄や金やニッケル、コバルトのシアノ錯体は処理できません(ニッケルは少し処理できますが、得意ではありません)。
よって、これらの処理には紺青法などほかの処理方法を選ぶ必要があるため、一般的には排水処理の前段でアルカリ塩素法を使い、そのすぐ後段に紺青法を用いるという段階的な処理を行っています。以上から、(5)は正しいといえます。
アルカリ塩素法では、pH10以上で塩素剤を添加する一段反応と、pH7~8で塩素剤を添加する二段反応でシアンを分解します。塩素には通常、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が用いられます。よって(1)は正しく、また、薬注制御は酸化還元電位計(ORP計)を用いるので(3)も正しいです。
また、アルカリ塩素法ではシアン(CN–)は最終的に窒素(N2)と二酸化炭素(CO2)に分解されます。このことを押さえておけば、(2)の「アンモニア」が誤りであることがわかります。
塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウムは反応生成物として正しいですが、ここで重要なのはシアンに含まれる窒素分を無害な単体の窒素に変えられるということなので、アンモニアじゃなくて窒素であるはず、ということに気づければ充分だと思います。
残る(4)の記述も正しいのですが、試験対策として反応時間までカバーするのはやり過ぎだと思うので、個人的には特にしなくていいような気がします。
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