有機化合物の人体への影響に関する記述として、正しいものはどれか。
- 有機りん系農薬の毒性は、アセチルコリンエステラーゼ活性の増加による。
- DDTやHCHなどの有機塩素化合物は、人体に蓄積されにくい。
- PCBsの生体内残留性は、置換塩素数が多いものほど低い。
- テトラクロロエチレンは、血液中に入ると脂肪に分布しやすい。
- トリクロロエチレンは、国際がん研究機関(IARC)によると、発がんの可能性はない物質とされている。
正解 (4)
解 説
(1)について、有機りん系農薬による中毒症状は、アセチルコリンエステラーゼの阻害に起因します。これにより神経伝達物質であるアセチルコリンが上手に代謝されず体内に残り続け、神経障害などの中毒症状を生じます。
(2)で、これら有機塩素化合物には水溶性ではなく脂溶性の物質が多いため、人体への蓄積性があります。もしも水溶性であれば、尿中に溶けてそのまま体外へ排泄されるので、蓄積は問題になりません。
(3)の置換塩素数と生体内残留性に関して、置換塩素数が多いほど生体内残留性が高くなる傾向があります。例外もあったりするので一概にそうだと言い切れない部分はあるのですが、少なくとも、(3)の記述のように置換塩素数が多いほど生体内残留性が低いというのは、明らかに誤った記述であるといえます。
(4)は(2)に関連しますが、テトラクロロエチレンも有機塩素化合物で水に溶けにくく油(有機物)に溶けやすいので、一端血液に入っても、そこに留まり続けずに脂肪に溶け込むようになります。
(5)で、トリクロロエチレンは「人に対する発がん性の可能性がある物質」とされています。
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