問 題
JISによる排ガス中の窒素酸化物自動計測器に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 化学発光分析計では、NO2とオゾンとの反応で生じる発光を測定する。
- 赤外線ガス分析計では、NOの5.3μm付近における吸収量変化を測定する。
- 紫外線吸収分析計では、NO又はNO2の紫外線領域における吸収量変化を測定する。
- 差分光吸収方式による分析計では、NO又はNO2の吸収ピークと端部との吸収信号の差から濃度を測定する。
- ガス透過性膜を通じて電解液中に拡散吸収されたNOを測定する。
正解 (1)
解 説
(1)に関して、化学発光方式では、「不安定な励起状態にあるNO2*」が「安定な基底状態のNO2」に移る際に発する光を測定します。そして、その励起状態のNO2*はNOとO3(オゾン)との反応によって生成します。
よって、(1)の「NO2」が誤りで、正しくは「NO」となります。
また、この問題とは関係ありませんが、前処理に関する注意点を補足します。
測定したいのは窒素酸化物なので、NOとNO2の両方を調べたいのですが、上記の通り反応に励起NO2*の原料になるのはNOだけです。そのため、この反応の前処理としてNO2はNOに還元しておく必要があります。
以上をまとめると、化学発光を利用した窒素酸化物自動計測器の手順は次のようになります。
- 排ガス中のNO2をあらかじめNOに還元する(これによりNOとNO2が合算される)
- NOとO3(オゾン)との反応で、励起状態のNO2*が生成する
- 励起状態のNO2*が基底状態のNO2に移る際、発光する
- その発光の強度を検出することで、窒素酸化物の濃度を測定する
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