H22年 水質有害物質特論 問4 問題と解説

有機水銀排水の処理に関する記述中、(  )内に入る組合せとして、正しいものはどれか。

塩素による塩化水銀(Ⅱ)への分解は有機水銀化合物のアルキル基の種類によって難易度が変わり、アルキル基の炭素数が( ア )ほど分解しにくい。また、塩素化時のpHは分解に大きく影響し、( イ )溶液では炭素と水銀の結合が切断される。その後( ウ )による処理を行い、さらに後処理として水銀キレート樹脂などによる吸着処理を行う。

  (ア)       (イ)        (ウ)

  1. 大きい  pH1以下の強酸性      硫化物法
  2. 小さい  pH11以上の強アルカリ性  硫化物法
  3. 大きい  pH11以上の強アルカリ性  水酸化物法
  4. 小さい  pH1以下の強酸性      硫化物法
  5. 小さい  pH1以下の強酸性      水酸化物法

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(ア)について、アルキル水銀は炭素数が小さいほど分解が難しいとされています。実際、公害病である水俣病の主な原因物質は、炭素数が最も少ない(1つ)のメチル水銀でした。

(イ)について、多くの金属は酸(特に強酸)に溶けます。アルキル水銀の場合も、難分解性で有名なものの、強酸によって分解することができます。

水中に溶けている水銀(このときは有機水銀ではなく、Hg2+というイオン状態です)を硫化ナトリウム(Na2S)で処理します。つまり(ウ)は硫化物法です。これにより、硫化水銀(HgS)が生成し、これは水に溶けにくいので沈殿分離でき、汚泥として処理できます。

ただし、この沈殿分離だけでは排水基準を満たすほどきちんと水銀を除去できない可能性があるので、問題文にあるように、最後に後処理として水銀キレート樹脂などによる吸着処理を行います。

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