R1年 大規模水質特論 問10 問題と解説

 問 題     

ビール工場の排水や排水処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ビール工場の主な排水として、醸造系の排水と容器充塡(じゅうてん)工程の排水があり、有機物濃度がより高いのは前者である。
  2. ビール工場の総合排水は生物処理可能なので、活性汚泥法により処理できる。
  3. 上向流式嫌気汚泥床(UASB)では、沈降性に優れたグラニュールと呼ばれる嫌気性菌の塊を自己形成させることで、従来の嫌気性処理の欠点である長い処理日数を大幅に短縮することができる。
  4. ビール工場にUASBを導入する場合、既存の活性汚泥処理の前にUASB処理を行う、二段処理とするのが普通である。
  5. 一般にビール工場の排水をUASBと活性汚泥の二段処理をすれば、活性汚泥法単独処理に比べ曝気動力を削減できるが、余剰汚泥の発生量は増加する。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

上向流式嫌気汚泥床(UASB)は名前の通り嫌気処理です。嫌気処理は好気処理と比べて処理速度が遅いというデメリットはあるものの、汚泥発生量が少ないというメリットがあります(好気だと微生物の増殖が速い上に、酸素の質量も汚泥の重さに加わるためです)。

よって、活性汚泥法(好気処理)単独処理にすると酸素もたくさん使う上、余剰汚泥も多く発生してしまいます。一方、UASBとの二段処理にすることで活性汚泥法の負荷が減るので、曝気動力を削減でき、さらに余剰汚泥の発生量は減少します。

以上から、正解は(5)となります。

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