問 題
嫌気処理装置の維持管理として、誤っているものはどれか。
- 嫌気処理装置は一般に密閉された構造のため内部を見ることができず、処理水又は処理装置内の水質を監視しながら正常な状態を維持する。
- 処理水の透明度は高いので、処理水の濁度を監視することによって、汚泥の流出がないよう管理する。
- pHの低下は有機酸の蓄積を予測させるため、排水の流入停止などの対応をとる。
- ガス発生量の低下は、メタン生成菌の活性低下が予想されるため、排水の流入停止などの対応をとる。
- 高温消化では排水の流入が停止し、負荷のない状態が続くと急速に生物活性が低下してしまう。
正解 (2)
解 説
(1)は正しいです。嫌気処理装置には酸素が入らないように、密閉構造とするのが一般的です。
(2)が誤りです。嫌気処理の場合、有機分に含まれる硫黄が微生物によって分解されて硫化水素となり、水中の鉄イオンと反応することで黒色の硫化鉄に変わります。よって、嫌気処理の水は概して黒く濁っています。つまり、透明度は低いです。
よって、濁度を確認しても仕方がない(違いがわからない)ので、汚泥の流出がないかどうか確認するには、汚泥レベル(槽の底に積もっている汚泥の高さ)で判断します。
(3)は正しいです。有機酸があるとpHが下がり、これを放っておくと微生物が死んでしまうので、排水の流入停止などの対応をとる必要があります。
(4)も正しいです。嫌気処理によってメタンガスが生じますが、これが少ないということは、メタン生成菌の元気がなくなっていると考えられます。
(5)も正しいです。処理する対象がない状態で微生物を高温にさらしていると、微生物の活性がどんどん落ちてしまいます。そのため、もし負荷を掛けられない状況が続くのであれば、水の温度を下げた上で待機させておく必要があります。
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