次の記述はJISによる排ガス中NOxのある化学分析方法の操作手順に関するものである。該当する分析方法はどれか。
試料ガス中のNOxをオゾンで酸化し、吸収液に吸収させて硝酸イオンとする。試薬を加えて発色させ、波長545nm(赤紫色)の吸光度を測定する。
- 亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法
- ナフチルエチレンジアミン法
- イオンクロマトグラフ法
- フェノールジスルホン酸吸光光度法
- ザルツマン吸光光度法
正解 (1)
解 説
選択肢(1)~(4)はいずれもNOxの分析方法としてJISで規定されていますが、(5)のザルツマン吸光光度法だけはNOxではなくNO2の分析方法となります。
(1)の亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法は、次のような操作手順です。
- 試料ガス中のNOxをオゾンで酸化し、吸収液に吸収させて硝酸イオンとする。
- 亜鉛により硝酸イオンを亜硝酸イオンに還元する。
- 発色試薬(スルファニルアミド+ナフチルエチレンジアミン)を加える。
- 波長545nm(赤紫色)の吸光度を測定する。
(2)のナフチルエチレンジアミン法は名前の通り(1)の手順と似ていますが、直接亜硝酸イオンにする点がポイントです。
- 試料ガス中のNOxをアルカリ性の吸収液に吸収させて亜硝酸イオンとする。
- 発色試薬(スルファニルアミド+ナフチルエチレンジアミン)を加える。
- 波長545nm(赤紫色)の吸光度を測定する。
(3)のイオンクロマトグラフ法はNOxの分析方法の中で唯一、発色させて吸光度を測る方法ではありません。
- 試料ガス中のNOxをオゾンか酸素で酸化し、吸収液に吸収させて硝酸イオンとする。
- イオンクロマトグラフにより測定する。
(4)のフェノールジスルホン酸吸光光度法はNOxの分析方法の中で唯一、硝酸イオンの吸光度を測定します。(1)、(2)、(5)は亜硝酸イオンを対象とした発色試薬でしたが、これは硝酸イオンが対象なので発色試薬が異なり、黄色になります。
- 試料ガス中のNOxをオゾンか酸素で酸化し、吸収液に吸収させて硝酸イオンとする。
- 発色試薬(フェノールジスルホン酸)を加える。
- 波長400nm(黄色)の吸光度を測定する。
(5)のザルツマン吸光光度法は上記の通り、NOxの測定では使えず、NO2の分析方法となります。
- 試料ガス中のNO2を吸収発色液(スルファニル酸−ナフチルエチレンジアミン酢酸溶液)に通して発色させる。
- 波長545nm(赤紫色)の吸光度を測定する。
以上より、問題文と対応するのは(1)の亜鉛還元ナフチルエチレンジアミン吸光光度法です。ただし、問題文には(1)の手順2に相当する亜鉛による還元の部分が書いていないため、酸化方法がオゾンのみ(オゾンor酸素ではない)というのを決め手にすると良いと思います。
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