問 題
ダイオキシン類に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ダイオキシン類は廃棄物焼却などの事業活動によって環境中に排出されるが、一部は焚き火、火災、火山活動などによっても排出される。
- ダイオキシン類対策特別措置法で定義されているのは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)及びコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)である。
- PCDDとPCDFは塩素の数や位置によって異性体があり、PCDDの異性体の種類は、PCDFの異性体の種類より多い。
- ダイオキシン類の毒性等価係数(TEF)は、2,3,7,8-TeCDDの毒性を1として表したものである。
- 2,3,7,8-TeCDDは水に溶けにくく、20℃ではほとんど気化しない。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。ダイオキシン類は主に廃棄物焼却などの事業活動で発生しますが、焚き火、火災、火山活動などの自然由来でも生成・排出されます。
(2)も正しいです。ダイオキシン類は以下の3種類の物質群の総称です。
- ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDDs)
- ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)
- コプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)
(3)が誤りです。異性体の数は、PCDDが75種類、PCDFが135種類、コプラナーPCBが約12種類なので、その大小関係は「PCDF ＞ PCDD ＞ コプラナーPCB」の順となります。
よって、(3)の「PCDDの異性体の種類は、PCDFの異性体の種類より多い」は誤りで、これは反対です。
なお、もし具体的な数を知らなくても、PCDD(ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン)とPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)の構造式を考えると、PCDDは点対称なので異性体の数がPCDFよりは少なくなることが予想できます。
(4)は正しいです。最も毒性の強い2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-パラ-ジオキシン(2,3,7,8-TeCDD)の毒性を1(基準)として、その他毒性のある異性体の毒性は、相対的な毒性を表わす毒性等価係数(TEF)で表わされます。
(5)も正しいです。仮に水溶性であったり気化しやすかったりすれば、体内に取り込まれたとしても尿や汗と一緒に体外へ排出されるので、発がん性などが問題視されることも少ないと思います。
実際には脂溶性で気化しにくいので、なかなか体外へ排出されず、発がん性や免疫機能低下などが問題となります。
以上から、正解は(3)です。
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