R7年 水質概論 問7 問題と解説

 問 題     

湖沼・貯水池の特性に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 水温成層が発達すると、垂直混合が抑えられる。
  2. 春から夏にかけて形成される水温躍層より下の深水層では、表層(混合層)より水の密度が高い。
  3. 春から夏にかけて形成される水温躍層より下の深水層では、表層(混合層)より水温が低い。
  4. 夏季部分循環期では、気温の低下に伴って混合層は薄くなる。
  5. 冬季に表面水温が0℃近くまで低下する寒冷地の湖沼・貯水池では、年2回の全層循環が生じることがある。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

本問は珍しい出題テーマといえます。特に難易度の高い問題ではありませんが、見慣れない用語も多く登場すると思うので、出題頻度を踏まえると後回しにしても構わないと思います。

(1)は正しいです。水温成層というのは、太陽の熱で暖められた表層水と冷たい深層水の間で温度差が大きくなり、温度差による密度の違いによって水が上下で混ざりにくくなる状態のことです。

(2)と(3)はともに正しいです。水温躍層という用語自体は別に重要ではありませんが、温かい表層と冷たい深水層の間に位置する層のことで、この深さのあたりで水温が急激に変化するため、水温躍層と呼ばれています。

(1)の解説の通り深層水は水温が低く、重くなる(=密度が大きい)ため、(2)と(3)の記述は適切です。

(4)が誤りです。夏季部分循環期という用語自体は覚えなくていいと思いますが、晩夏~初秋の気温が低くなる時季のことです。

気温が低下してくれば表層(混合層)の水温が下がって水の密度が大きくなるため、表層(混合層)が少し深いところまで沈んできます。よって、混合層は「薄くなる」ではなく「厚くなる(深くなる)」といえます。

(5)は正しいです。1年間(春→夏→秋→冬)のサイクルが、大まかにいえば「全層循環→成層→全層循環→逆転層」となります。(5)でわざわざ寒冷地と明記しているのは、温暖な場所では逆転層が形成されにくいため、2回の全層循環がつながって1回になるからです。

以上から、正解は(4)となります。

コメント