問 題
横流式沈殿池(深さ4m、表面積40m2)に粒子含有排水を流入させ、滞留時間8時間で沈降分離している。粒子の除去率は96%であった。
この粒子含有排水に別系統の粒子を含まない排水160m3/日を合流させて均一に混合した後、沈殿処理した。粒子の除去率(%)として最も近いものはどれか。
ただし、沈殿池内に流れの乱れや短絡がなく、水の流れは平行であり、かつ粒子は均一な沈降速度を持ち、沈降の過程で沈降速度が変わることがないとする。
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解 説
排水を混合したときの粒子の除去率の変化に関する出題は珍しいため、やや難易度の高い出題といえます。悪問・奇問というわけではないので、余裕があれば押さえておきたい知識ですが、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。
まず、問題文にある沈澱池の深さと表面積から容積を計算すると、次の(1)式で表すことができます。

- V:沈澱池の容積 [m3]
- H:沈澱池の深さ [m]
- A:沈澱池の表面積 [m2]
次に、滞留時間(HRT:Hydraulic Retention Time)は、沈殿池容積[m3]/水量[m3/日]で表すことができます。これは重要公式の一つとして、ぜひ押さえておいてください。そのため、次の(2)式の計算によって1日あたりの流入水量を算出することができます。

- t:滞留時間(HRT) [日]
- Q:流入水量 [m3/日]
(1)式、(2)式より、表面積あたりの水処理の負荷の大きさ(=表面積負荷)は次の(3)式のように表すことができます。

- v0:表面積負荷 [m/日]
また、粒子の除去率ηは粒子の沈降速度と表面積負荷の比で表すことができるため、次の(4)式のように計算することによって、粒子の沈降速度を算出できます。

- η:粒子の除去率
- v:粒子の沈降速度 [m/日]
よって、問題文の条件における粒子の沈降速度は11.52[m/日]となります。
続いて、問題文の後半では粒子を含まない排水が160[m3/日]加わるため、流入水量が増え、それに応じて表面積負荷も変化します。ただし、粒子の量や性質は変わりません。そのため、合流後の流入水量Q’、表面積負荷v0‘は次のように計算することができます。


以上から、問われている合流後の除去率η’は次の式によって求めることができます。

よって、正解は(2)となります。

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