R7年 汚水処理特論 問6 問題と解説

 問 題     

イオン交換に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 樹脂母体に結合している活性基として、スルホン酸基が導入されている樹脂は強酸性陽イオン交換樹脂である。
  2. 樹脂母体に結合している活性基として、第四級アンモニウム基が導入されている樹脂は強塩基性陰イオン交換樹脂である。
  3. イオン濃度が2000mg/Lを超えるような高い場合には、処理コストの面から、イオン交換よりも電気透析法を検討するべきである。
  4. 油分やコロイド状有機物などを多量に含む原水を直接通すと、イオン交換樹脂の性能が劣化するので前処理を行う必要がある。
  5. 一般的に、イオン交換樹脂の再生には次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤が用いられる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)と(2)はともに正しいです。これらに関連して、試験に出題されやすいイオン交換樹脂の活性基を以下に列挙します。

  • 強酸性陽イオン交換樹脂 :スルホン酸基
  • 弱酸性陽イオン交換樹脂 :カルボキシ基(カルボキシル基)
  • 強塩基性陰イオン交換樹脂:第四級アンモニウム基
  • 弱塩基性陰イオン交換樹脂:第三級アミン、第二級アミン

(3)も正しいです。イオン交換法は優れた処理方法ではありますが、コストが高いのが弱点です。よって、微量に(イオン濃度が1000mg/L程度以下)含まれる重金属イオンなどを厳密に除きたいときなどにはその強みを発揮しますが、高濃度の原水をざっと処理するときなどは、低コストの電気透析法や逆浸透法のほうが有益です。

(4)も正しいです。有機物の汚れによって樹脂が汚染されると性能低下を招きます。そのため、油分やコロイド状有機物などが多量に含まれていることがわかっている場合、凝集沈殿などの前処理が必要です。

(5)が誤りです。イオン交換樹脂の再生には、強酸や強アルカリ、塩化ナトリウム(食塩)などの濃厚溶液が用いられます。次亜塩素酸ナトリウムやオゾン水のような酸化力のあるものを使うと、イオン交換樹脂を劣化させる可能性が高いため、これらは不適です。

以上から、正解は(5)となります。

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