問 題
シアン排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- アルカリ塩素法における一段反応では、アルカリ性で塩素を添加する。
- アルカリ塩素法における二段反応では、pHを酸性にして塩素を添加する。
- 銅シアノ錯体は、アルカリ塩素法で分解が可能である。
- 鉄シアノ錯体は、二価の鉄を加えて難溶性塩を生成させ、凝集沈殿法によって除去できる。
- シアン化合物とオゾンの反応によって、シアンは窒素と炭酸水素塩にまで酸化分解される。
正解 (2)
解 説
(1)は正しく、(2)は誤りです。アルカリ塩素法では、pH10以上で塩素剤を添加する一次分解と、pH7~8で塩素剤を添加する二次分解で、シアン(CN–)を窒素(N2)と二酸化炭素(CO2)に分解します。塩素には通常、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が用いられます。
よって、(2)の「pHを酸性」という部分が誤りで、ここは「pH7~8」や「pHを中性付近」などとするのが正しいです。
(3)は正しいです。アルカリ塩素法は有用なシアン排水の処理方法で、遊離シアンのほか、銅や亜鉛のシアノ錯体も処理可能です。しかし、鉄や金やニッケル、コバルトのシアノ錯体は処理できません(ニッケルは少し処理できますが、得意ではありません)。これらの処理には紺青法などほかの処理方法を選ぶ必要があります。
(4)も正しいです。(3)の解説の通り、鉄シアノ錯体には紺青法が有効ですが、(4)には紺青法のことが書かれています。紺青法は、2価の鉄塩を添加して難溶性塩を生成して、沈殿除去する方法です。具体的にはFeSO4・7H2Oが用いられます。
(5)も正しいです。オゾン酸化法では、シアンはオゾンとの反応により、窒素と炭酸水素塩までに酸化分解されます。余談ですが、オゾン酸化法でニッケルシアノ錯体は処理可能ですが、鉄、金、銀のシアノ錯体は分解できません。
以上から、正解は(2)となります。

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