問 題
有害物質として指定されている有機りん化合物を含む有機りん(農薬)排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 水に難溶性であるが、そのままでは凝集沈殿のような固液分離法だけでは完全に除去できない。
- 可溶状態においては解離しているので、イオン交換によって低濃度まで処理できる。
- パラチオンは活性炭に対する吸着量が高く、低濃度まで処理される。
- 有機物であるが、相当低濃度にならないと生物処理は困難である。
- アルカリ性で加水分解して凝集沈殿処理した後、活性汚泥処理が行われる。
正解 (2)
解 説
有機りん(農薬)排水の処理の流れとして、まず酸化カルシウムなどの塩基でpH調整して加水分解処理し、凝集沈殿後、ろ過処理して希釈し、活性汚泥処理を行うのが一般的です。
以上を踏まえて選択肢を見ていきます。
(1)は正しいです。有機りん(農薬)はそれなりに分子量のある有機化合物なので、水に溶けにくく凝集沈殿が有効です。しかし、水に溶けにくいだけで少しは可溶状態になっているため、凝集沈殿で「完全に除去」できるわけではありません。
(2)が誤りです。(1)の解説の通り、可溶状態になったとしても全体から考えるとその割合は小さいです。よって、イオン交換法を使った有機りん(農薬)の処理というのは現実的ではありません。
(3)は正しいです。パラチオンは有機りん(農薬)の一種です。パラチオンに限らず大体の有機りん(農薬)は極性が小さいので活性炭に良く吸着します。
(4)も正しいです。有機りんは農薬として使われていますが、農薬の意義は、農作物を害虫や菌、病気などから守ることです。よって、有機りんと微生物の組み合わせというのは微生物にとってかなり相性の悪い組み合わせです。そのため、有機りん(農薬)を生物処理で除去するのは困難です。
(5)も正しいです。有機りん(農薬)は酸性なので、アルカリ性のものを使えば加水分解でき、その後の凝集沈殿と活性汚泥処理が効果的となります。
以上から、正解は(2)です。

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