R7年 大規模水質特論 問5 問題と解説

　問 題　　　　　

水の再利用におけるカスケード利用に関する記述として、誤っているのはどれか。

1. カスケード利用では、ある用途に使用した水を、そのまま他の用途に使用する。
2. カスケード利用は、特別高価な施設を必要とせず、運転費用も安価である。
3. カスケード利用には、使用する側にとって排水の水質や水温が許容できることが必要である。
4. 機械工場においては、コンプレッサーの冷却水が、酸洗工程の洗浄水としてカスケード利用されることがある。
5. 鉄鋼業における直接冷却水として使用された水は懸濁物質の混入がほとんどないので、洗浄用水としてカスケード利用されることが多い。

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

(1)は正しいです。カスケードは「滝」という意味があり、滝のような連続性を持って、何かに使った水をそのまま別の用途に使うことを指します。上流を流れた水がそのまま下流にいって、そこでも使われるイメージです。

(2)も正しいです。例えば既存の配管を引き直す程度でカスケード利用を実現できるため、高価な施設は必要なく、運転費も安いといえます。

(3)も正しいです。下流側で使用する際に清浄な水が求められる場合、カスケード利用は向いていません。使用する側にとって排水の水質や水温が許容できるかどうかを見極める必要があります。

(4)も正しいです。コンプレッサーの冷却水は熱交換に使うだけなので、その排水は比較的きれいです。そのため、それを酸洗工程の洗浄水として利用することができます。

(5)が誤りです。鉄鋼業で(間接ではなく)直接冷却水として使う場合は素材に直接触れるため、鉄粉や油分などの懸濁物質を多く含みやすいです。よって、そのまま洗浄用水としてカスケード利用するのは無理があります。

この場合、カスケード利用を諦めるか、または、沈殿・ろ過・油分分離などの前処理をしてからカスケード利用を行うことになります。

以上から、正解は(5)です。