R7年 大気概論 問6 問題と解説

 問 題     

次の大気成分のうち、対流圏大気中におけるヒドロキシルラジカル(OH)との反応で、変換・分解しないものはどれか。

  1. 二酸化硫黄
  2. 一酸化炭素
  3. トルエン
  4. CFC-12
  5. HCFC-141b

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

この問題は、各選択肢について化学反応式などを熟考してしまうと難しく感じます。一方、問題文にある「対流圏大気中」という言葉に注目して考えると、そんなに難しい問題ではありません。

「大気中」ではなくわざわざ「対流圏大気中」とあることから、選択肢の中には対流圏では変換・分解せず、成層圏で変換・分解する物質があるはずだ…と推測することができます。そして、成層圏で分解するといえばオゾン層破壊物質です。

つまり、この問題は実質的にオゾン層破壊物質が問われているため、特定フロンであるCFC(クロロフルオロカーボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が該当し、選択肢の中では(4)の「CFC-12」と(5)の「HCFC-141b」が候補となります。

ただし、答えは1つなので、(4)と(5)のどちらが適切なのかを判断する必要があります。

ここで、フロン類として最初に登場したのがCFCで、それがオゾン層を破壊することが問題視されてHCFCが使われるようになったという経緯を知っていれば、HCFCのほうがオゾン層破壊の程度が弱い(≒対流圏で分解されやすい)と考えることができます。

余談ですが、そうはいってもHCFCもオゾン層破壊物質であるため、今ではオゾン層を全く破壊しない代替フロンであるHFC(ハイドロフルオロカーボン)などが用いられています。

以上のように考えると、(4)と(5)では、(4)のCFCのほうが対流圏では分解されずに成層圏でオゾンと反応しやすい物質であると判断できます。

よって、正解は(4)となります。

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