問 題
2022(令和4)年における二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)及び一酸化二窒素(N2O)の地上での世界平均濃度を1750年の各濃度と比較した存在比(%)をその大きさの順に並べたとき、正しいものはどれか(WMO温室効果ガス年報第19号による)。
- CO2 > CH4 > N2O
- CO2 > N2O > CH4
- N2O > CO2 > CH4
- CH4 > N2O > CO2
- CH4 > CO2 > N2O
解 説
本問は過去の出題傾向とは異なった趣きで、やや難易度の高い出題といえます。悪問・奇問というわけではないので、余裕があれば押さえておきたい知識ですが、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。
なお、出題形式はそれぞれ異なりますが、WMO温室効果ガス年報からの出題がR5年、R6年に続いて3年連続となりました。そのため、気象庁のホームページにあるWMO温室効果ガス年報を読み込んでおくのも有益かと思います。
この設問は温室効果ガスであるCO2、CH4、N2Oの比較の問題ですが、これらの存在比を比較しているわけではなく、個々の過去からの増減比を比べている点に注意してください。ちなみに比較対象が1750年なのは、工業化以前と以後を比べるためです。
結論を先に示しておくと、各物質の2022年/1750年の比は、CO2が150%、CH4が264%、N2Oが124%であるため、「CH4 > CO2 > N2O」となり、正解は(5)です。
CO2は周知の通り、代表的な人為起源温室効果ガスです。工業化による化石燃料の燃焼などにより、工業化以前と比べて150%まで増加しています。
CH4は工業化以前と比べて264%と顕著に増加しています。畜産や稲作、化石燃料採掘といった人為起源のほか、湿地やシロアリが由来となる自然起源も多いのが特徴的です。
顕著なのはCH4の264%で、畜産や稲作、化石燃料採掘といった人為起源のほか、湿地やシロアリが由来となる自然起源も多いのが特徴的です。人為起源はもちろんとして、熱帯の湿地からのメタン放出も増えているため、自然起源でさえも増加傾向となっています。
N2Oも人為起源と自然起源の両方があり、合わせると工業化以前と比べて124%となっています。人為起源としては農地への窒素添加が、自然起源としてはラニーニャ現象が、N2Oの大気中濃度上昇に寄与していると考えられています。
以上から、「CH4 > CO2 > N2O」であり、正解は(5)となります。

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