R7年 大気特論 問10 問題と解説

 問 題     

NOx抑制方式に関し、主な抑制理由、及びNOxの生成機構別抑制効果の程度を示した組合せのうち、正しいものはどれか。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

まず大前提として、燃料が由来となって生じるNOxがフューエルNOx、空気中の窒素が由来で生じるNOxがサーマルNOxです。

(1)は、「フューエルNOx ◯」が誤りで、正しくは「フューエルNOx ×」となります。

燃焼室熱負荷を低減すると火炎温度が低下します。サーマルNOxは高温条件のときほど生成しやすいので、温度低下によって抑制されます。一方、フューエルNOxの抑制効果は見られません。

(2)は、抑制理由の「燃焼域でのO2濃度の低下」が誤りで、正しくは「火炎温度の低下」となります。

空気予熱温度を低下させると、それが火炎温度に反映されて火炎温度が下がります。しかし、これによって燃焼域でのO2濃度が低下するわけではありません。ちなみに、(1)と同様、火炎温度の低下によってサーマルNOx抑制効果があるため、(2)の◯・×は正しいです。

(3)はいずれも正しいので、これが正解の選択肢となります。

二段燃焼は、第1段階の供給空気量を理論空気量の80~90%程度に制限し、第2段階で足りない空気を供給する方法で、系全体で完全燃焼させるようになっています。

これによって、急激な燃焼を抑制し、火炎温度を下げる(=サーマルNOx抑制)のとともに、酸素濃度を低めに抑え、NOxの生成を抑制する(サーマル、フューエル両方)ことができます。

(4)は、「サーマルNOx ×、フューエルNOx ◯」が誤りで、正しくは「サーマルNOx ◯、フューエルNOx ×」となります。

排ガス再循環燃焼というのは、燃焼によって生じた排ガスの一部を、また燃焼室に戻すような燃焼方法です。これにより、火炎温度が下がるとともに、高温域での燃焼ガス滞留時間の短縮につながります。

そのため、(1)や(2)と同様にサーマルNOxの抑制にはなりますが、フューエルNOxの抑制効果は特にありません。

(5)は、(2)と同様、抑制理由の「燃焼域でのO2濃度の低下」が誤りで、正しくは「火炎温度の低下」となります。

エマルション燃料とは、石油などの燃料と水とが混ざりあったような燃料のことです。本来は油と水は混ざりませんが、界面活性剤の存在により混合が可能となっています。

燃焼の際にこの燃料に含まれる水分が蒸発しますが、このときの蒸発潜熱によって周囲の熱が奪われるので、結果として炎の温度が下がり、サーマルNOxの低減につながります。一方、フューエルNOxの低減には特に有効ではありません。

以上から、正解は(3)となります。

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