問 題
汚水等処理計画において、排水処理系への負荷を減らすために採用される対策として、一般に適切でないものはどれか。
- 新しい製造プロセスを採用する場合、使用する化学物質が環境に及ぼす影響を、毒性その他様々な角度から考察する。
- 重金属を水酸化物として不溶性の物質に変えて沈殿分離する場合、濃厚排水の系統と低濃度排水の系統を統合して処理する。
- めっき工場で、めっき浴と水洗槽との間に回収槽を設けて、めっき液のすくい出し量を減少させる。
- 生物処理をするのが適当な有機性の排水に、有毒物質、強アルカリ性や強酸性の排水を混合することは避ける。
- 排水の濃度や流量の時間変動が大きい場合は、調整槽を設けて流量や排水濃度を平均化する。
正解 (2)
解 説
排水処理系への負荷低減対策に関する出題は珍しいですが、決して捨て問題ではありません。知識がなくても解ける問題なので、見慣れない設問でも安易に捨て問題と判断せず、考えることでなるべく得点につなげてほしいと思います。
(1)は正しいです。製造プロセスの変更や新たなプロセスの導入時には、使用する化学物質が環境や健康に与える影響を考慮し、毒性の低い物質を選ぶことが求められます。
(2)が誤りです。これはイメージするとわかりやすいと思いますが、かなり汚い水(濃厚排水)と比較的きれいな水(低濃度排水)では、その処理方法が異なります。多くの場合、濃厚排水には厳重な処理が必要ですが、低濃度排水は簡単な処理で済みます。
一方、これらを混ぜてしまうとそこそこ汚い水(中濃度排水)が大量に発生する上に、それなりにしっかりした処理が求められることになります。そうすると処理能力が不足する可能性があり、望ましくありません。
よって、濃厚排水と低濃度排水を分けられる場合には、その状態のまま別々に処理するのが合理的です。
(3)は正しいです。めっき液を回収することで、めっき液の無駄を減らし、排水処理への負荷を減らすことができます。
(4)も正しいです。生物処理をする排水に有毒物質や極端なpHの排水を加えると、微生物が死んだり働きが弱まったりします。そのため、生物処理の際にはそのような排水を混合させることは不適切です。
(5)も正しいです。調整槽を設けることで、排水の流量や濃度の変動を均一化し、処理効率を向上させることができます。
以上から、正解は(2)となります。
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