R6年 汚水処理特論 問6 問題と解説

 問 題     

活性炭吸着処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 固定層吸着では、活性炭の吸着容量を有効に利用するために多段吸着方式がとられることがある。
  2. 固定層吸着では、活性炭層内の微生物やその代謝産物が処理水中に流出するという問題がある。
  3. 移動層吸着の長所は、装置を小型化でき、設置面積を小さくできること、さらに、処理水水質を一定にできることである。
  4. 移動層吸着の欠点は、装置が複雑で、運転操作が煩雑になることなどである。
  5. 活性炭の再生方法としての乾式加熱再生は、ほとんどすべての有機物を対象として利用でき、しかも活性炭の損失がないという長所がある。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)は正しいです。多段吸着方式は、複数の吸着塔を直列に配置し、活性炭の交換や再生のタイミングを調整することで、処理効率を高める方法です。

(2)も正しいです。固定層吸着における活性炭層内では微生物が繁殖しやすいです。微生物が繁殖すると、目詰まりの原因となったり、微生物やその代謝産物が処理水中に流出したりするという問題が生じます。

(3)と(4)はともに正しいです。移動層吸着の長所として、装置を小型化できること、設置面積を小さくできること、処理水水質を一定にできることなどが挙げられます。一方、短所として、装置が複雑になる、運転操作が煩雑になる、活性炭の性能劣化が早いなどが挙げられます。

(5)は前半は正しいですが、後半の記述が誤っています。乾式加熱再生は700~1000℃程度の高温で活性炭を加熱するため、ほぼ全ての有機物を分解・揮散させることができますが、強熱によって数%程度の活性炭が損失します。よって、「活性炭の損失がない」は明確に誤りです。

よって、正解は(5)となります。

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