R6年 汚水処理特論 問9 問題と解説

 問 題     

脱水に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 一般に、沈殿分離によって発生する汚泥の固形物濃度は0.1wt%以下のものが多く、まだ流動性を有するので、脱水することが必要である。
  2. 前処理のための無機凝集剤としては、塩化鉄(Ⅲ)、水酸化カルシウム(消石灰)などが用いられる。
  3. 凝集沈殿汚泥や活性汚泥などのケーキは圧縮性を有するので、ろ過圧力を上げれば、それに比例してろ過速度は大きくなる。
  4. ヌッチェ試験によって、加熱時間とケーキ含水率との関係を求めることにより、ケーキ比抵抗などを求めることができる。
  5. 一般に使用されているろ過助剤としてはケイ藻土、おがくず、セルロースなどがあるが、これらは少量の添加で効果が現れるので、脱水ケーキの量はほとんど増えない。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

(1)は誤りです。沈殿分離は何もせずにそっとしておくことなので、そうしてできる汚泥は確かに流動性があり、脱水処理が必要となります。しかし、(1)に書かれている数値が誤りで、沈殿分離を経た汚泥の固形物濃度は「0.1wt%以下」ではなく、「2wt%以下」のものが多いです。

仮に0.1wt%以下となるなら、それはもう流動性がなく、その時点で脱水は不要となります。

(2)が正しい記述です。汚泥の脱水の前処理において凝集剤を添加するときは、塩化鉄(Ⅲ)、水酸化カルシウムなどの無機凝集剤や高分子凝集剤が多く用いられます。

(3)の前半部分は正しく、活性汚泥などのケーキには圧縮性があります。そのため、ろ過圧力を上げてもケーキが水分を取り込んだまま圧縮され、あまりろ過速度が改善できません。よって、(3)の後半の文章が誤りです。

(4)も誤りです。ヌッチェ試験は、汚泥の脱水に対してろ液量とろ過時間の関係を調べてケーキの比抵抗を求めるための試験です。よって、(4)の「加熱時間とケーキ含水率との関係」が誤りで、ここを「ろ液量とろ過時間の関係」とすると正しい文章になります。

(5)の前半部分は正しく、ろ過助剤には、ケイ藻土、おがくず、セルロースなどが用いられます。しかし、効果を得るためには一定量の助剤が必要であるため、脱水ケーキの量はいくらか増加します。よって、(5)の後半の文章が誤りです。

以上から、正解は(2)となります。

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