R6年 汚水処理特論 問11 問題と解説

 問 題     

活性汚泥法の操作条件に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. BODを効率的に酸化分解するのに必要な栄養塩類の質量比については、経験則を基に、BOD:N:P=100:5:1程度の窒素、りんが必要とされる。
  2. 活性汚泥法における曝気には、「BODの酸化及び生物の呼吸に必要な酸素の供給」、及び「曝気槽内の汚泥混合液の均一な混合」の二つの目的がある。
  3. 曝気槽のpHは、中性付近(pH6.0~8.0の範囲)に維持することが望ましい。
  4. 汚泥滞留時間は、活性汚泥の固形分が系内に滞留している平均日数を示すものである。
  5. 正常な活性汚泥のSVIは5~50mL/gの範囲にあり、100mL/gを超えると沈殿池で汚泥界面が水面近くまで上がり、汚泥が処理水中に流出するおそれがある。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)は正しいです。排水中に窒素やりんなどの栄養塩類が不足している場合は、質量比で、BOD:N:P=100:5:1程度になるように栄養塩類を添加すると、効率的にBODを処理することができます。

(2)も正しいです。記載の通り、活性汚泥法における曝気の主な目的は、以下の2つです。

  1. BODの酸化及び生物の呼吸に必要な酸素の供給
  2. 曝気槽内の汚泥混合液の均一な混合

(3)も正しいです。微生物の働きが活性化するように、曝気槽のpHは中性付近にしておくことが望ましいです。

(4)も正しいです。汚泥滞留時間(SRT:Sludge Retention Time)はその名の通り、汚泥が槽内に滞留している時間(単位は「日」を使うことが多い)のことで、以下の式で表すことができます。計算問題などでも使うことのある重要公式として、ぜひ押さえておいてください。

上式の分子は「曝気槽の中にあるSS(=MLSS)の量」に相当し、分母は1日に曝気槽から流出するSSの総量に相当します。よって、槽内のSS量を1日の流出量で割れば、槽内のSSが何日で全て抜けるのかがわかり、これがまさに汚泥滞留時間(SRT)となります。

(5)が誤りです。SVIとはSludge Volume Indexの略で、汚泥容量指標のことです。これは、MLSS濃度に対する30分間静置後の汚泥容積の比で表されます。

本問ではこの式は特に関係ありませんが、これも(4)のSRTと同様、計算問題で出題されることがあるため、押さえておきたい公式です。

  • SVI:汚泥容量指標 [mL/g]
  • Sv:30分間沈降後の汚泥容積 [mL/L]
  • MLSS濃度:MLSS濃度 [g/L]

本題に戻ると、正常な活性汚泥のSVIは50~150mL/gの範囲にあり、200mL/gを超えると沈殿池で汚泥界面が水面近くまで上がり、汚泥が処理水中に流出するおそれが出てきます。これはバルキングといわれる現象です。

よって、(5)の数値が2箇所とも誤っていて、「5~50mL/g」と「100mL/g」のところは、正しくはそれぞれ「50~150mL/g」と「200mL/g」になります。

以上から、正解は(5)です。

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