問 題
生物学的硝化脱窒素法における脱窒素反応に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 一般に、排水中のBOD成分などの有機物の消費を伴う。
- 分子状の酸素が存在すると反応が抑制される。
- 反応の進行とともにpHが低下するため、アルカリ剤の添加が必要である。
- 硝酸や亜硝酸を主に窒素ガスへ還元して水中から除去する反応である。
- 脱窒素反応には内生呼吸型もある。
解 説
生物学的硝化脱窒素法に関する問題は頻出ですが、各選択肢の文章が過去の出題傾向とは異なった趣きで、やや難易度の高い出題といえます。悪問・奇問というわけではないので、余裕があれば押さえておきたい知識ですが、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。
まず、生物学的硝化脱窒素法は硝化工程と脱窒素工程で構成されます。その流れは以下の通りで、1.~3.が硝化工程、4.と5.が脱窒素工程となります。このうち、本問は脱窒素反応に関する出題です。
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硝化工程:アンモニアから亜硝酸態窒素への反応
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硝化工程:亜硝酸態窒素から硝酸態窒素への反応
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硝化工程:アンモニアから硝酸態窒素への反応
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脱窒素工程:亜硝酸態窒素から窒素への反応
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脱窒素工程:硝酸態窒素から窒素への反応
(1)は正しいです。上記4.と5.の反応式を見るとH(水素供与体)が必要であることがわかりますが、これは、微生物が排水中のBOD成分を利用することで得られます。
(2)も正しいです。脱窒素反応は嫌気的条件で進行しますが、ここで使われる通性嫌気性細菌は、硝酸と酸素が両方ある環境下では酸素呼吸を優先してしまい、硝酸を使った脱窒素反応が進みません。そのため、脱窒素工程では酸素の流入をできるだけ抑えることが重要です。
(3)が誤りです。上記4.と5.の反応式を見るとOH-を生じていることがわかります。そのため、反応の進行とともにpHは上昇します。よって、(3)の「pHが低下」や「アルカリ剤の添加が必要」という部分が誤っています。
(4)は正しいです。上記4.は亜硝酸態窒素から窒素への反応、上記5.は硝酸態窒素から窒素への反応なので、記述の通りです。
(5)はマイナーな知識ですが、記述の通りです。内生呼吸型の脱窒素反応は、微生物が自身の細胞内物質を分解してエネルギーを得る方法です。外部からの有機物供給が不足している状況下では、このような起こり、内生呼吸型の脱窒素反応が起こります。
以上から、正解は(3)となります。
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