R6年 汚水処理特論 問23 問題と解説

 問 題     

紫外線吸光光度法による全窒素の検定に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 試料にペルオキソ二硫酸カリウムのアルカリ性溶液を加えて加熱酸化分解を行う。
  2. 試料中の窒素化合物を硝酸イオンに変える。
  3. 吸光度を測定する前に、試料溶液のpHを2~3に調節する。
  4. 共存する有機物が多い試料の測定に適している。
  5. 海水のように多量の臭化物イオンを含むような試料には適さない。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)と(2)はともに正しいです。紫外線吸光光度法は、試料にペルオキソ二硫酸カリウムのアルカリ性溶液を加えて、高圧蒸気滅菌器中で120℃で30分間の加熱酸化分解を行い、試料中の全ての窒素化合物を硝酸イオンに変えます。「120℃で30分間」という数値も覚えておきたい重要事項です。

(3)も正しいです。(1)と(2)の操作の後、pHを2~3に調節し、波長220nmの吸光度を測定して硝酸イオン濃度を求め、窒素濃度に換算します。「pH2~3」と「波長220nm」はどちらも頻出なので、覚えておく必要があります。

(4)が誤りです。有機物によっては多くの窒素分を含むものもあります。試薬として一定量のペルオキソ二硫酸カリウムを加えて加熱酸化分解する際、有機物が多すぎるとペルオキソ二硫酸カリウムが足りずに、全ての窒素化合物が反応し切らないことがあります。

よって、紫外線吸光光度法による全窒素の測定は、共存有機物の少ない試料に適しています。

(5)は正しいです。臭化物イオンは紫外線を吸収するので、紫外線吸光光度法では測定誤差の原因となります。多量の臭化物イオンを含む場合には誤差が大きくなるので、この方法は使えません。

以上から、正解は(4)となります。

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