R6年 水質有害物質特論 問3 問題と解説

 問 題     

重金属排水の処理技術におけるフェライト法・鉄粉法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. フェライトは、MO・Fe2O3(M:Fe、Co、Mn、Niなど)で表される鉄を主成分とする固溶体の総称である。
  2. 鉄(Ⅱ)イオンを含む溶液にアルカリを加えて加熱すると、強磁性であるマグネタイトが生成する。
  3. フェライト処理には、フェライトの結晶構造に取り込まれた重金属がスラッジから溶出しやすいという欠点がある。
  4. 鉄粉法は、多孔性で比表面積の大きい特殊鉄粉の使用により、還元処理が困難と考えられていたZn2、Cd2、Ni2なども処理可能となっている。
  5. 鉄粉法は、沈降特性がよい、脱水性がよいなどの操作性でのメリットがある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)~(3)のフェライトとは、酸化鉄(Ⅲ)を主成分としたセラミックスのことです。これを加えると、フェライト結晶中に金属を封じ込めてそのまま沈殿するので、金属除去には有用です。

(1)は正しく、フェライトは鉄を主成分とする固溶体の総称です。

(2)も正しいです。この特徴は頻出なので、そのまま覚えておいてください。過去問では、「鉄(Ⅱ)イオン」や「アルカリ」の部分が「鉄(Ⅲ)イオン」や「酸」に変えられて、誤った選択肢として出題されたことがあります。

(3)が誤りです。フェライト法では重金属をきちんと封じ込めて沈殿させることができるため、(3)の記述のような欠点はありません。

しいてフェライト法の欠点を挙げるなら、フェライト自体が沈殿物(汚泥)となる上に結構かさばるため、この方法で処理すると汚泥発生量が多くなります。

(4)と(5)は鉄粉法の内容に関するものなので、出題頻度が低いマイナーな知識ですが、いずれも正しい記述です。

鉄粉法では、多孔性で比表面積の大きい特殊な鉄粉を使用します。これにより、鉄粉の反応性が向上し、従来の方法では還元処理が困難であったZn2+、Cd2+、Ni2+などの重金属イオンを効果的に処理できるようになりました。

また、鉄粉法によって生成されるスラッジは粒子径が大きく、凝集性が良好であるため、沈降性や脱水性に優れています。

以上から、正解は(3)となります。

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