R6年 水質有害物質特論 問8 問題と解説

 問 題     

シアン排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. アルカリ塩素法では、中性で塩素を添加する工程と、次にpHをアルカリ性にしてさらに塩素を添加する二段階で分解が行われる。
  2. アルカリ塩素法で使用される塩素化合物は、次亜塩素酸ナトリウムが一般的である。
  3. 鉄のシアノ錯体に対しては、鉄(Ⅱ)を添加して難溶性塩を生成させ、除去することができる。
  4. 紺青法では、pH5~6の弱酸性で反応を行う。
  5. 電解酸化法は、濃厚な遊離シアン排水の処理に適している。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)と(2)に関して、アルカリ塩素法では、pH10以上で塩素剤を添加する一次分解と、pH7~8で塩素剤を添加する二次分解で、シアン(CN)を窒素(N2)と二酸化炭素(CO2)に分解します。塩素には通常、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)が用いられます。

よって、(1)の文章はアルカリ性と中性の順序が反対となっているため、これが誤りの選択肢です。一方、(2)は正しい記述です。

アルカリ塩素法についてもう少し詳しく知りたい場合は、H29年 問8の問題文と解説を参照してください。

(3)は正しいです。これは紺青法のことが書かれています。紺青法は、2価の鉄塩を添加して難溶性塩を生成して、沈殿除去する方法です。具体的にはFeSO4・7H2Oが用いられます。

(4)はややマイナーですが、正しいです。紺青法については(3)の解説の通りですが、溶液のpHが上がると水酸化鉄と可溶性の鉄シアノ錯体に分解するため、反応はpH5~6の弱酸性で行います。

(5)も正しいです。電解酸化法は、メッキ廃液などに含まれる高濃度のシアンの処理に向いています。ただし、電解酸化法は遊離シアンや安定度の低いシアノ錯体には有効である一方で、鉄やニッケルのシアノ錯体の分解は苦手です。

以上から、正解は(1)となります。

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