R6年 水質有害物質特論 問9 問題と解説

 問 題     

有害物質として指定されている有機りん化合物(農薬)及びその排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 有害物質として指定されている有機りん化合物は、殺虫作用を示す。
  2. 有害物質として指定されている有機りん化合物には、パラチオン、チウラム、EPN、メチルジメトンがある。
  3. いずれも非解離の分子化合物であり、排水中に混入した場合は、大部分は懸濁粒子として存在していると思われる。
  4. アルカリ性で加水分解されるので、この性質を利用した処理が行われている。
  5. いずれも疎水性の強い物質であり、活性炭処理が有効である。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

本問は過去の出題傾向とは異なった趣きで、やや難易度の高い出題といえます。そのため、個人的にはこの問題は捨て問題扱いにしてしまっても構わないと思います。ただし、(1)と(5)は基本的な内容なので、運任せにするとしても(2)~(4)の3択のいずれかを選びたいところです。

(1)は正しいです。有機りん化合物は、主に殺虫剤として使用される農薬です。

(2)が誤りです。パラチオン、EPN、メチルジメトンは有機りん系殺虫剤であり、有害物質に指定されています。しかし、チウラムは有機りん化合物ではなく、有機硫黄化合物です。

(3)は正しいです。有機りん化合物は一般的に非解離性の疎水性分子であり、水中でイオン化しにくいです。そのため、排水中では懸濁粒子に吸着した形で存在することが多く、浮遊物質(SS)として取り扱われます。

(4)も正しいです。有機りん化合物は酸性なので、アルカリ性のものを使えば加水分解できます。そのため、有機りん排水は、酸化カルシウムなどの塩基でpH調整して加水分解処理し、凝集沈殿後、ろ過処理して希釈し、活性汚泥処理を行います。

(5)も正しいです。有機りん化合物は疎水性が高く、水への溶解度が低い傾向があります。そのため、活性炭による吸着処理が効果的です。

以上から、正解は(2)となります。

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