R6年 水質有害物質特論 問14 問題と解説

 問 題     

アンモニア、アンモニウム化合物の検定に関する記述中、ア~ウの(  )の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。

試料を蒸留処理してアンモニア性窒素を共存物から分離した後、( ア )などを適用するか、あるいは妨害物質を含まない試料に蒸留操作なしで( イ )を適用して、アンモニウムイオンを定量し、その濃度に( ウ )を乗じて窒素換算濃度として表示する。

  •       ア                イ         ウ
  1. ナフチルエチレンジアミン吸光光度法  イオン電極法       0.3045
  2. ナフチルエチレンジアミン吸光光度法  イオンクロマトグラフ法  0.7766
  3. インドフェノール青吸光光度法     イオン電極法       0.3045
  4. インドフェノール青吸光光度法     イオンクロマトグラフ法  0.7766
  5. イオンクロマトグラフ法        イオン電極法       0.7766

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

本問は過去の出題傾向とは異なった趣きで、難易度の高い出題といえます。そのため、個人的にはこの問題は捨て問題扱いにしてしまっても構わないと思います。参考までに以下に解説を示しますが、軽い気持ちで読み流してください。

( ア )に関して、アンモニア性窒素の検定によく用いられるものの一つに「インドフェノール青吸光光度法」が挙げられます。ただし、アンモニア性窒素をインドフェノール青吸光光度法で定量する場合、前処理としての蒸留操作が必要となります。

これは、インドフェノール青吸光光度法の前に蒸留操作をしないと、有機体の窒素化合物やほかの妨害物質によって測定誤差を与えてしまう可能性があるためです。

よって、( ア )には「インドフェノール青吸光光度法」が入ります。

( イ )について、妨害物質を含まない試料の場合、蒸留操作なしで「イオンクロマトグラフ法」を適用することができます。これは、試料に有機体の窒素化合物が含まれていたとしてもカラムで分離されるので、蒸留をしなくても有機体の窒素化合物が測定誤差とならないためです。

よって、( イ )には「イオンクロマトグラフ法」が入ります。

( ウ )に関して、定量できるのはアンモニウムイオン(NH4+)濃度で、求めたいのは窒素(N)換算濃度です。NH4+は18[g/mol]、Nは14[g/mol]であることから、定量した結果に「×14/18」すれば窒素換算濃度を求めることができます。

14/18=0.777…なので、選択肢から「0.7766」が適切であると判断できます。数値が微妙に異なっているのは、NH4+が正確には18.04[g/mol]で、Nが14.01[g/mol]だからです。とはいえ、この試験は選択問題なので、原子量は整数で覚えておけば十分だと思います。

よって、( ウ )には「0.7766」が入ります。

以上から、

  • (ア):インドフェノール青吸光光度法
  • (イ):イオンクロマトグラフ法
  • (ウ):0.7766

となるので、正解は(4)です。

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