問 題
製紙工場における汚濁負荷削減技術及び排水処理工程に関する記述として、誤っているものはどれか。
- パルプ製造工程における節水対策は、黒液濃縮工程から発生する凝縮水の利用などによって洗浄工程での洗浄水をいかに減らすかが重要である。
- 白水回収装置では、微細な気泡を発生させて、その気泡に白水中の微細繊維と塡料を付着させることによって浮上させて分離する。
- 排水処理工程では、栄養源である窒素、りんを添加する。
- 活性汚泥処理水は、さらに凝集沈殿処理を経た後に放流される。
- 排水処理工程において脱水された汚泥は、漂白工程を経た後に白水回収装置で回収された原料とともに再び抄紙原料として再利用される。
正解 (5)
解 説
(1)は正しいです。これは重要事項というほどではありませんが、凝縮水を再利用して洗浄水の使用量を削減するという話は、特に矛盾もなく正しい記述であると判断しやすいと思います。
(2)も正しいです。白水回収装置では、浮上分離によって原料(微細繊維と塡料)を分離・回収し、再び抄紙原料として用います。また、白水回収装置から排出される水は砂ろ過を行い、抄紙工程におけるシャワー水として再利用します。
(3)も正しいです。製紙工場の排水は、有機物(BOD)濃度が高い一方で、窒素やりんなどの栄養塩類が不足していることがあります。そのため、活性汚泥処理を効果的に行うためには、栄養源である窒素とりんを添加する必要があります。
(4)も正しいです。製紙工場から生じる水質汚濁物質といえば、BOD(またはCOD)とSSです。この処理工程は二段処理とし、1段目の活性汚泥処理でBOD成分を、2段目の凝集沈殿処理でSSを除去してから放流します。
(5)が誤りです。(2)で解説した通り、白水回収装置から排出される水は砂ろ過を行い、抄紙工程におけるシャワー水として再利用します。
しかし、排水処理工程で脱水された汚泥は、活性汚泥処理による微生物の死がいや様々な有機物・無機物を含んでいるため、これを抄紙原料に用いると紙の品質に悪影響を及ぼしかねません。そのため、この汚泥が抄紙原料として再利用されることはありません。
以上から、正解は(5)となります。
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