R6年 大気概論 問9 問題と解説

 問 題     

有害大気汚染物質と健康影響の組合せとして、誤っているものはどれか。

  • (有害大気汚染物質)       (健康影響)
  1. ベンゼン       人に対する発がん性を有することが確認
  2. トリクロロエチレン  人に対する発がん性を有することが確認
  3. アクリロニトリル   動物実験で発がん性を有することが確認
  4. マンガン       人に対する発がん性を有することが確認
  5. ひ素及びその化合物  人への発がん性の十分な証拠がある

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

この問題は、個々の選択肢が正しいかどうかを判断しようとすると難しく感じますが、明らかに誤っているものを探そうとすれば比較的易しい問題だといえます。

まず、発がん性リスクの分類には5段階(1、2A、2B、3、4)あり、その内訳は以下の通りです。

  • グループ1:ヒトに対する発がん性あり
  • グループ2A:ヒトに対する発がん性おそらくあり
  • グループ2B:ヒトに対する発がん性あるかもしれない
  • グループ3:ヒトに対する発がん性なんともいえない
  • グループ4:ヒトに対する発がん性おそらくなし

本問でいえば、選択肢(1)、(2)、(4)が「人に対する発がん性を有することが確認」となっているため、これらがグループ1に該当します。

ここで、(1)のベンゼンや(2)のトリクロロエチレンは、環境基準を設定して厳しく監視されていますが、(4)のマンガンには環境基準が設けられておらず、もう少し緩い扱いである指針値が定められているだけです。

もしマンガンの発がん性リスクがグループ1であるならば、指針値ではなく環境基準を定めてしっかりと大気中の濃度を監視・管理しているはずです。そう考えると、マンガンはグループ1ではないと考えることができます。

よって、(4)の組合せが誤りなので、正解は(4)となります。

コメント