R6年 大気特論 問2 問題と解説

 問 題     

気体燃料である水素とメタンの物性値、特性値のうち、水素の値がメタンの値より大きくなるものはどれか。

  1. 密度(kg/m3N)
  2. 体積当たりの高発熱量(MJ/m3N)
  3. 質量当たりの高発熱量(MJ/kg)
  4. 高発熱量と低発熱量の差(MJ/m3N)
  5. 完全燃焼に必要な理論空気量(m3N/m3N)

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

本問では水素とメタンの比較がテーマとなっていますが、大前提として、それぞれの分子量は水素(H2)が2、メタン(CH4)が16であり、水素はメタンよりもはるかに軽いという点です。

(1)に関して、上記の通り、水素はメタンよりも軽いため、密度は「水素 < メタン」の関係となります。

(2)に関して、代表的な気体燃料である水素(H2)、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)の4種類について体積あたりの発熱量を比較すると、分子量が大きいものほど発熱量が高くなります。つまり、「水素 < メタン エタン <プロパン」の関係となります。

参考までに、具体的な数値も載せておきますが、これを正確に覚えておく必要はありません。もし覚えるとしても、それぞれ、約100、約70、約40、約10程度に記憶しておけば充分だと思います。

  • プロパン:101.3[MJ/m3N]
  • エタン :70.7[MJ/m3N]
  • メタン :39.8[MJ/m3N]
  • 水素  :12.8[MJ/m3N]

(3)に関して、(2)の通り体積あたりの発熱量では「水素 < メタン」となりますが、水素は非常に軽い割には燃焼時に多くのエネルギーを放出します。水素の分子量はメタンの1/8しかありませんが、発熱量はそこまで小さくないため、質量あたりの発熱量で考えると「メタン < 水素」となります。

(4)はややマイナーなのでスルーしてもいいかもしれません。

高発熱量と低発熱量の違いは、水蒸気の凝縮熱を含むか含まないかです。水素の燃焼では「H2+1/2O2 → H2O」、メタンの燃焼では「CH4+2O2 → CO2+2H2O」なのでどちらも水蒸気が生成しますが、生じる量は前者だと1mol、後者だと2molになっています。

よって、水素またはメタンの体積あたりの水蒸気発生量を比較すると「水素 < メタン」になるため、体積あたりの高発熱量と低発熱量の差も「水素 < メタン」の関係となります。

(5)に関して、(4)の解説に示した化学反応式の通り、水素1molの燃焼で必要な酸素は1/2molで、メタンの場合は2molです。そのため、理論空気量は「水素 < メタン」の関係となります。

以上から、正解は(3)です。

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