問 題
排煙脱硫プロセスの石灰スラリー吸収法に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 吸収剤については、石灰石を用いるほうが消石灰を用いるよりもSO2との反応速度が大きくなる。
- 吸収液のpHが高くなると脱硫率が上がる。
- スート分離方式では、石こうの品質を高めることができる。
- スート混合方式には、硫酸の添加が不要である。
- スケーリングとは、装置材料面に亜硫酸カルシウムや石こうの結晶の一部が固結する現象である。
解 説
(1)が誤りです。この記述は逆で、SO2との反応速度は、石灰石(炭酸カルシウム:CaCO3)よりも消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2)のほうが大きくなります。これは頻出なので重要事項として押さえておいてください。
(2)は正しいです。石灰スラリー吸収法における脱硫の化学反応式は以下のように表されます。
吸収液のpHがあまり酸性側に寄り過ぎると、CaCO3スラリーがSO2を吸収してCaSO3・1/2H2Oとなる上記の反応が進行しづらく、脱硫率が低下します。一方で、塩基性側に寄るほど脱硫率は上がります。
(3)も正しいです。スート分離方式では、吸収塔の手前でばいじんの除去を行ったのち、吸収塔でSO2を吸収します。
この方式は、(スート混合方式と違って)2段階の設備が必要なので手間や費用は掛かりますが、吸収塔に流れてくるガスに含まれるばいじん量が少ないため、得られる石こうの品質を高めることができます。
(4)も正しいです。スート混合方式(吸収塔酸化方式)では、SO2が酸化されて硫酸になったあと、それを石灰石と効率的に反応させることができるので、残留石灰石があまり出ません。
つまり、石灰石の使用量が少なくて済みます。さらに、残留石灰石があまり出ないので、これを分解するために硫酸を添加するという工程が必要なくなります。
(5)も正しいです。記述の通り、スケーリングとは、装置材料面に亜硫酸カルシウムや石こうの結晶の一部が固結する現象です。
石灰スラリー吸収法では、吸収塔で生成した亜硫酸カルシウムや最終生成物である石こうがあまり水に溶けないことから、これらが吸収塔の内部に固着してしまうスケーリングが問題となります。
以上から、正解は(1)となります。
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