R6年 大規模大気特論 問2 問題と解説

 問 題     

平坦地の煙突から排出される汚染物質の拡散に関する記述として、誤っているものはどれか。ただし、汚染物質の排出量や排出条件は同じで、変化しないものとする。

  1. 煙の鉛直拡散幅が大きくなれば、最大着地濃度は低くなる。
  2. 最大着地濃度の出現距離は、大気の安定度によっても変化する。
  3. 煙突の風下の最大着地濃度は、煙突を高くすると低くなる。
  4. 煙の拡散幅は気象条件、特に乱流の強さと直接的な関係がある。
  5. 乱流の強さは、風速や大気の安定度などの気象条件と地面の凹凸の度合い(粗度)により変化する。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)が誤りです。煙の鉛直拡散幅が大きくなると、煙は上下に大きく蛇行するため、煙突近くの時点で地表に到達する可能性が高まります。そうなると、まだ平面的に拡散できておらず、着地濃度が高くなりやすいです。

(2)は正しいです。大気が不安定であれば(1)の解説のように煙が鉛直方向に拡散しやすくなり、最大着地濃度は煙突から近いところに高い値で示されます。反対に大気が安定であれば、煙は広く遠くに拡散するため、最大着地濃度は煙突から遠いところに低い値として現れます。

(3)も正しいです。煙突が高ければ高いほど地表までの距離が増加し、その間に汚染物質が拡散されるため、地上での濃度は低下します。

(4)も正しいです。雨が降れば煙の拡散は抑えられ、風が吹けば煙は風に乗って拡散します。このように、煙の拡散幅は気象条件の影響を強く受けます。

(5)も正しいです。風速が速いと機械的な乱流が増し、不安定な大気では熱的な乱流が増します。また、地面の凹凸が大きいと風との摩擦が増えるため、これも乱流が強くなる要因となります。

以上から、正解は(1)です。

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