R6年 大規模大気特論 問3 問題と解説

 問 題     

混合層の特性に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 混合層の上端の部分には、逆転層が形成される。
  2. 日射による地表面加熱により、混合層厚さは日没近くまで成長を続ける。
  3. 混合層の大半の部分は、活発な熱対流により、温位がほぼ一様になる。
  4. 雲や夕暮れで日がかげり、熱対流が弱まると、中立境界層に変わる。
  5. 混合層が発達する晴れた日中は、鉛直拡散幅が増大しやすい。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

混合層では日射によって地表面の空気が暖められ、空気が膨張して浮力が生じて熱対流(自由対流)が起こります。これは地上高さ1kmぐらいまで続いていて、地表からこのくらいの高さまでを混合層といいます。

(1)は正しいです。混合層の上に温位の高い層があるため、混合層の上端よりも上層の下端のほうが温度が高くなっています。この部分を温度逆転層といいますが、ここでは上側が温かく下側が冷たいために空気の移動が起こりにくくなります。そのことから、この温度逆転層のあたりはリッド(ふた)とも呼ばれます。

(2)が誤りです。混合層の厚さは、日射による地表面の加熱によって増加しますが、その成長は正午ごろの時間帯がピークです。その後、午後から日没にかけては日射量が減少し、地表面の加熱も弱まるため、混合層の成長は止まって縮小傾向となります。

(3)は正しいです。解説の冒頭に書いた通り、混合層内では地表面の加熱による熱対流が活発で、空気が上下に混合されます。その結果、温位は高度に関係なくほぼ一定となります。

(4)も正しいです。雲や夕暮れで日射が弱まると、地表面の加熱が減少して熱対流が弱まります。そして熱対流が弱まると、混合層は熱的に中立な中立境界層へ変わります。混合層、接地安定層、中立境界層の区別は重要なので、この知識が曖昧な方は、R3年 問3を参照してください。

(5)も正しいです。晴天時には日射による地表面の加熱が強く、混合層が発達します。つまり、空気が上下に混合されることになるため、鉛直方向の熱対流が強まり、鉛直拡散幅が増大します。

以上から、正解は(2)となります。

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